「情報通信研究機構」の一般公開の続きです。日本標準時の話はもっとあるのですが先にこちらから。
-------
研究所の一角にドームがありました。
左側の小さいのは気象レーダーらしいですが、ドームの中にはこんなものがあります。
1.5m反射望遠鏡です。非常に焦点距離が短そうに見えるのですがF1.5です。
Aは20cmガイド鏡、Bは“ふつうの”ビデオカメラ、Cはバランス調整用のウェイト(あちこちにはりつけてあります)、Dがガイド用レーザーの送出口です。
主鏡を覗きこむと虫眼鏡状態になっていました。
ところでこの望遠鏡を何に使うかというと人工衛星を対象としたレーザー測距(SLR)と光通信が目的だそうです。
この見学はこの日のラボツアーの一つなのですがその概要は
衛星との光通信を可能にする望遠鏡
宇宙通信の主役は光通信になりつつあります。人工衛星を追尾できる日本最大の口径 1.5m の大型望遠鏡をご紹介します。
(「NICTオープンハウス2013・当日配布パンフレット」より)
となっていました。
実際に通信しているところのビデオを見せていただきました。
まず地上からレーザー光を送ります。これはDのところから送出されます。
これはBの“ふつうの”ビデオカメラで撮ったものだそうですが、マークしたところはじめあちこちに星らしきものが写っています。“ふつうの”ビデオカメラでここまで写るのかなあという気もするのですが...
地上からのガイド光を捕捉した衛星はレーザー光を送り返してきて通信が確立します。
大出力のレーザーを使っているように考えてしまうのですがガイドのレーザー光こそ数ワットの出力だが実際の通信は100mW程度とのことでした。
ただビームは1秒角まで絞り込んであるそうで1,000km離れたところでも5m径くらいにしか広がらないそうです。
望遠鏡を別の角度から見たもの。
Aは送受信光を地下の観測室(レーザー送受信装置)に導くためのミラーです。要するにクーデ式ということのようです。天空の一点からくる光の点滅・明暗を見ているだけなので視野が回転するとか視野が狭いというのはぜんぜん問題にならないんだと思います。
C1,C2はガイド光の射出孔です。Bにロープが垂れ下がっていますがロックをはずすとこのロープを引っ張るだけで数トンある可動部が動きます。実際引っ張らせていただきました。ちょっと体重をかける必要はありますが片手で引っ張って簡単に動きました。
ちょっと話が飛びますが数百トンあるすばる望遠鏡だって人間の力で動かせるくらいバランスをとり摩擦を小さくしてあるそうです。去年手作り赤道儀がうまく行かなかったのはこのあたりに原因があるのかなあ、と思いました。
------
この望遠鏡は1000km離れたところでさえ5m径にしか広がらないレーザー光を低空を高速で移動する衛星とやりとりしなければならないわけですから非常に高い精度(追尾精度1秒以下)を持っているのはとうぜんなんですが方位角や高度を高速で動かすことができます。軍事技術(ミサイル追尾)を転用したものだとか。方位角に関しては毎秒15度で動かせるそうですが、もっともいくら衛星の追尾でもそんな速度は必要ないわけでこの速度で動かしてしまうとドームの回転が追いつかないらしいです。
この日はたまたまあじさいが上空を飛んでおり追尾するときどういう動きをするのかを見せていただきました。ドームは開かず望遠鏡を動かすだけでしたが。
で、ちょっと思うんですがこの望遠鏡でISSを追尾して写真を撮ったらものすごい写真が撮れるんじゃないでしょうか。ひょっとしたらテスト的に撮った写真があるんじゃないかとも思うのですが....
資料はたくさんありますが例えば
「情報通信研究機構季報 Vol. 58 Nos. 1/2 2012 - 光地上局システムの開発 - 1.5 m 光地上局の概要」
-----------
「銀河鉄道に乗って時計の神様に会いに行く(1)」 編集
「これが日本標準時だ!」 編集
「この望遠鏡でISSを撮ってみたい」 編集
(続く)
-------
研究所の一角にドームがありました。
左側の小さいのは気象レーダーらしいですが、ドームの中にはこんなものがあります。
1.5m反射望遠鏡です。非常に焦点距離が短そうに見えるのですがF1.5です。
Aは20cmガイド鏡、Bは“ふつうの”ビデオカメラ、Cはバランス調整用のウェイト(あちこちにはりつけてあります)、Dがガイド用レーザーの送出口です。
主鏡を覗きこむと虫眼鏡状態になっていました。
ところでこの望遠鏡を何に使うかというと人工衛星を対象としたレーザー測距(SLR)と光通信が目的だそうです。
この見学はこの日のラボツアーの一つなのですがその概要は
衛星との光通信を可能にする望遠鏡
宇宙通信の主役は光通信になりつつあります。人工衛星を追尾できる日本最大の口径 1.5m の大型望遠鏡をご紹介します。
(「NICTオープンハウス2013・当日配布パンフレット」より)
となっていました。
実際に通信しているところのビデオを見せていただきました。
まず地上からレーザー光を送ります。これはDのところから送出されます。
これはBの“ふつうの”ビデオカメラで撮ったものだそうですが、マークしたところはじめあちこちに星らしきものが写っています。“ふつうの”ビデオカメラでここまで写るのかなあという気もするのですが...
地上からのガイド光を捕捉した衛星はレーザー光を送り返してきて通信が確立します。
大出力のレーザーを使っているように考えてしまうのですがガイドのレーザー光こそ数ワットの出力だが実際の通信は100mW程度とのことでした。
ただビームは1秒角まで絞り込んであるそうで1,000km離れたところでも5m径くらいにしか広がらないそうです。
望遠鏡を別の角度から見たもの。
Aは送受信光を地下の観測室(レーザー送受信装置)に導くためのミラーです。要するにクーデ式ということのようです。天空の一点からくる光の点滅・明暗を見ているだけなので視野が回転するとか視野が狭いというのはぜんぜん問題にならないんだと思います。
C1,C2はガイド光の射出孔です。Bにロープが垂れ下がっていますがロックをはずすとこのロープを引っ張るだけで数トンある可動部が動きます。実際引っ張らせていただきました。ちょっと体重をかける必要はありますが片手で引っ張って簡単に動きました。
ちょっと話が飛びますが数百トンあるすばる望遠鏡だって人間の力で動かせるくらいバランスをとり摩擦を小さくしてあるそうです。去年手作り赤道儀がうまく行かなかったのはこのあたりに原因があるのかなあ、と思いました。
------
この望遠鏡は1000km離れたところでさえ5m径にしか広がらないレーザー光を低空を高速で移動する衛星とやりとりしなければならないわけですから非常に高い精度(追尾精度1秒以下)を持っているのはとうぜんなんですが方位角や高度を高速で動かすことができます。軍事技術(ミサイル追尾)を転用したものだとか。方位角に関しては毎秒15度で動かせるそうですが、もっともいくら衛星の追尾でもそんな速度は必要ないわけでこの速度で動かしてしまうとドームの回転が追いつかないらしいです。
この日はたまたまあじさいが上空を飛んでおり追尾するときどういう動きをするのかを見せていただきました。ドームは開かず望遠鏡を動かすだけでしたが。
で、ちょっと思うんですがこの望遠鏡でISSを追尾して写真を撮ったらものすごい写真が撮れるんじゃないでしょうか。ひょっとしたらテスト的に撮った写真があるんじゃないかとも思うのですが....
資料はたくさんありますが例えば
「情報通信研究機構季報 Vol. 58 Nos. 1/2 2012 - 光地上局システムの開発 - 1.5 m 光地上局の概要」
-----------
「銀河鉄道に乗って時計の神様に会いに行く(1)」 編集
「これが日本標準時だ!」 編集
「この望遠鏡でISSを撮ってみたい」 編集
(続く)