東京でカノープスを求めて(1) | 池袋駅南口の天文計算

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小望遠鏡とデジタルカメラを使った天体観測とExcelでできる天文計算のブログでした (^^;;
新規の記事は書きませんがよろしくおねがいします m(._.)m

カノープスなんてもう飽きるほど見たという方もいらっしゃいそうですが、私はまだいちども見たことがありません。見たいとは思うのですが東京からだとそうとうにきびしそうです。

都内某所__いちおう東経139.7度、北緯35.7度ということにしておきます__から南の空を写してみました。いろいろと差し障りがあるのでマスクをかけてしまいましたがマスクした部分にはビルとかそんなのがたくさん建っています。ところがこの写真の中央の部分だけはビルの谷間になっていてかなり高度の低いところまで見えています。
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もしここが真南だったらカノープスが見えるかもしれません。そこで真南はどの方向なのかまたどの程度の高度まで見ることができるか調べてみることにしました。

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こんな方法をとります。

まず撮影地点の経度、緯度、グリニッジ恒星時、カメラのレンズ・センサーの設定、カメラを設置した方向や傾き(ヨー、ピッチ、ロール)をパラメータにして恒星の赤経・赤緯から画像上の位置を求めるExcelのシートを作ります。
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適当にパラメータを仮定し恒星の画像上の位置を計算しExcelのソルバーを使って実際の画像上の位置との差が最小になるようなパラメータを決定します。

これによって写真を撮影したときのカメラのレンズ・センサーの設定、カメラを設置した方向や傾きが決まるとこんなことができるようになります。

  特定の方位・高度が画像上のどこに相当するか調べる。
  地上の構造物の方位・高度を求める。

もちろん赤経・赤緯から恒星の画像上の位置もわかりますので、これでビルの谷間が真南なのかまたカノープスが写るだけの高度まで見られるか判断できます。

詳細は別に記事にしたいと思いますが計算に使ったExcelのファイルはダウンロードできるようにしておきました。

  「Canopus_IMGP7359.xls

今回は応用なので、方向余弦の求め方、マトリックスによる座標の回転、度分秒と度や赤経・時刻・時間と度の変換等いろんな要素が入っています。興味のある方は末尾にある関連記事をご覧いただければと思います。

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一生懸命画像から恒星の位置を拾い星図と突き合わせながらその恒星の赤経・赤緯を調べます。
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恒星を10個拾ったところで実際に計算してみました。
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残差がぜんぜん小さくなりません。恒星の位置は非常な精度でわかっているわけですし、画像上の座標の読取り誤差だって1ピクセル程度でしょうから、それぞれの恒星の残差が2以上になるのはヘンです。

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今度は大気差を考慮した上で再度計算してみます。
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少しだけ残差が小さくなりましたが期待していたほどではありません。広角レンズで地平線から上空まで撮っているような場合はともかく望遠気味のレンズで撮っていますからあんまり影響はないのでしょう。

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次のレンズの歪曲(収差?)の影響を考慮します。歪曲はレンズの中心から距離で決まると思われるので星像の画像中心からの距離の関数になるような伸び縮みがあるものとして計算してみます。歪曲を表す関数の係数もソルバーで変化させるセルに追加します。
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こんどは各恒星の残差が1ピクセル程度に収まっています。これだけ高次の関数になるともっとたくさんデータを用意した方がいいと思いますがめんどうで....

さて次はいよいよカノープスが見られる可能性はあるのか、あるとすればどこに見えるのかの検討になります。

(続く)

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  「東京でカノープスを求めて(1)編集
  「東京でカノープスを求めて(2)編集

  「極座標と直交座標の変換(方向余弦) (1/3)編集
  「極座標と直交座標の変換(方向余弦) (2/3)編集
  「極座標と直交座標の変換(方向余弦) (3/3)編集

  「Excelの行列演算の関数を使う編集

  「座標の回転と行列演算 (1/2)編集
  「座標の回転と行列演算 (2/2)編集
  「座標の回転の記法について編集

  「天体のセンサー上の位置を求める編集
  「カメラの回転を考慮する編集