スナイパーズストリート10 | 風の痛み  Another Tale Of Minako
10.

(……来た……RPG-7……)
正面の窓際に、RPG-7を担いだ男が現れ、ボシュコのいるビルへ向け、発射の構えをとった。
(速い。……たいしたもんだが、……)
わずかな差だが、俺の方が速かった。
スコープの中で男の頭が砕け散った。
(相手は、自分の都合に合わせちゃくれないんだよ)

それでも男は、引き金を引いたのだろう。
大きな発射音と大量の後方噴射(バックブラスト)を残してロケット弾が、白煙を残しながら、澄み切った青空に向かって虚しく飛んでいった。
RPG-7、発射すれば、大量の後方噴射のために、たちまち相手に位置を知られ、反撃される。
兵士達は、これをスーサイドウェポン(suicide weapon,自殺兵器)という別名で呼ぶ。