3.
朝になって、俺の熱は下がっていた。
ソファで美咲が眠っている。
すっぴんもなかなかかわいい。
髪はめちゃくちゃに乱れているが…。
しかし、…腹が減った。
携帯がなった。
“はい、シンチですけど…”
“おお、シンチ、どうだ?”
べるげんだ。
“熱も下がって、足も痛みはないです”
“そうか、雪で出発が遅れてるんだが、無理か?”
“夕方まで足を地面につけるなって言われてるんで…”
“そうか。…佐藤先生は?”
“夕方来てくれるみたいです”
“無理に今日でなくてもいいぞ。明日でもかまわんからな。佐藤先生にもそう言っとくから”
“ああ、佐藤先生が、応援に残るって言ってくれてるんですけど、泊まれますか?”
“ご父兄と同じ部屋でよければ、空いてるはずだが…”
“そうですか。じゃぁ、そう言っておきます”
なんか、誰かがしゃべってる。
(誰?)
そうか。
ここは、真一の家なんだ。
真一が電話をしている。
相手は、高原先生だ。
大きな声。
「高原先生?」
念のために訊いてみた。
「うん」
「わたし、夕方、ここに来るの?」
「いっしょにいるって言えないだろ」
(えっ?)
そうか。
いっしょにいちゃまずい…か
でも、看病なんだけど…
違うか…。
今度は、わたしの携帯がなった。
“はい、佐藤です”
“高原ですが…”
べるげんの声だ。
相変わらず、でかい。
“シンチ、熱も下がって痛みもひいたそうです。すいませんが、シンチのこと。お願いできますか?”
“はい、だいじょうぶです”
美咲が俺を見て笑っている。
“無理に今日出なくてもいいですから、明日でもいいので…”
“はい。じゃぁ、それは、本人と相談します”
“それから、シンチから聞いたんですけど、こっちで応援してくれるって…”
“えっ、ええ、おじゃまでなければ…”
“じゃまなんてとんでもない。ありがたいです。部屋はどうにでもなりますから…”
“そうですか。無理言ってすいません”
“いえ、こちらこそ、お世話になって…。なにしろ、人手が足りないんで…”
“気にしないでください”
“じゃぁ、そろそろ、出発なんで…、シンチのことよろしくお願いします”
“はい。お気をつけて…”
「明日でもいいって言ってたけど、どうする?」
「俺はどっちでも…」
「そう?…じゃぁ、明日にしようか?」
「任せるよ」
「ねぇ、お腹すいた?」
「減ってる」
「そう。じゃぁ、なんか作るから、待ってて」
明日なら、今夜は、もっとちゃんとしたものを作ってあげられる。
一度帰って、作って持ってこよう。
それがいいわ。