No pain, No gain 5-3 | 風の痛み  Another Tale Of Minako
3.

朝になって、俺の熱は下がっていた。
ソファで美咲が眠っている。
すっぴんもなかなかかわいい。
髪はめちゃくちゃに乱れているが…。

しかし、…腹が減った。

携帯がなった。
“はい、シンチですけど…”
“おお、シンチ、どうだ?”
べるげんだ。
“熱も下がって、足も痛みはないです”
“そうか、雪で出発が遅れてるんだが、無理か?”
“夕方まで足を地面につけるなって言われてるんで…”
“そうか。…佐藤先生は?”
“夕方来てくれるみたいです”
“無理に今日でなくてもいいぞ。明日でもかまわんからな。佐藤先生にもそう言っとくから”
“ああ、佐藤先生が、応援に残るって言ってくれてるんですけど、泊まれますか?”
“ご父兄と同じ部屋でよければ、空いてるはずだが…”
“そうですか。じゃぁ、そう言っておきます”



なんか、誰かがしゃべってる。
(誰?)
そうか。
ここは、真一の家なんだ。
真一が電話をしている。
相手は、高原先生だ。
大きな声。

「高原先生?」
念のために訊いてみた。
「うん」
「わたし、夕方、ここに来るの?」
「いっしょにいるって言えないだろ」
(えっ?)
そうか。
いっしょにいちゃまずい…か
でも、看病なんだけど…

違うか…。


今度は、わたしの携帯がなった。
“はい、佐藤です”
“高原ですが…”
べるげんの声だ。
相変わらず、でかい。
“シンチ、熱も下がって痛みもひいたそうです。すいませんが、シンチのこと。お願いできますか?”
“はい、だいじょうぶです”
美咲が俺を見て笑っている。
“無理に今日出なくてもいいですから、明日でもいいので…”
“はい。じゃぁ、それは、本人と相談します”
“それから、シンチから聞いたんですけど、こっちで応援してくれるって…”
“えっ、ええ、おじゃまでなければ…”
“じゃまなんてとんでもない。ありがたいです。部屋はどうにでもなりますから…”
“そうですか。無理言ってすいません”
“いえ、こちらこそ、お世話になって…。なにしろ、人手が足りないんで…”
“気にしないでください”
“じゃぁ、そろそろ、出発なんで…、シンチのことよろしくお願いします”
“はい。お気をつけて…”

「明日でもいいって言ってたけど、どうする?」
「俺はどっちでも…」
「そう?…じゃぁ、明日にしようか?」
「任せるよ」

「ねぇ、お腹すいた?」
「減ってる」
「そう。じゃぁ、なんか作るから、待ってて」
明日なら、今夜は、もっとちゃんとしたものを作ってあげられる。
一度帰って、作って持ってこよう。
それがいいわ。