メルボルンもついにロックダウンが緩和されていく予感(祈)。このコロナ禍でレッスンをオンライン化にせざるをえなかった日本語学校も多い事と思います。他校の事はさておき、ジャパニージーでも例外なく3月末からオンラインレッスンをしています。

 

そして半年経った今、すっかりオンラインレッスンが気に入った学生から、ロックダウンが解除されてもオンラインで続けたいと言う声がチラホラ。オンライン上と教室内の学生が混在する、ハイブリッド型授業をこれから導入していく事になりそうです。対面は対面、オンラインはオンラインで授業を分けるのが一番の解決策というのは分かっているのですが、授業内容や経営面(人件費)、なるべく多くのクラスメイトとグループで学びたい学生のことなどを考えると、ハイブリッド授業実施は是非検討したい思っています。

 

ということで、凡人社企画で行われた藤本かおる先生の「理論から考えるオンライン授業」と村上先生主催の「ハナキン」を通して、既に実践例をお持ちの日本語教師の皆様から伺った話をかき集めてみました。ちょっとまとまりのない文章になっていますが、見聞きした情報をなるべくそのまま載せています。

 

 

方法

遠隔の学生はシェアスクリーンで、教室の学生はプロジェクターでスライドを映し出す。教師はPC操作につきっきりになることが多い。

また、ホワイトボード(以下WB)の位置にカメラを置き、遠隔の学生に教室の様子(主に教室内の学生達の様子)が見えるようにするので、遠隔の学生にはスライド+教師の顔か教室の様子が見えるようになる。

 

また、こちらの大阪大学も参考にさせてもらっています。↓

https://www.tlsc.osaka-u.ac.jp/project/onlinelecture/hyflex.html

 

 

 

 

音声の問題

歩き回る教師の場合、内蔵マイクから離れると声が聞きづらい、声が届いているかわからない。また教師が’思っている以上に遠隔側に音声が届いていないケースが多い。(一度録画で確認して見るといいかもしれないとの事)

教室内の学生の発話が先生が復唱し遠隔の学生に聞こえるようにする。

教室が広い場合:先生用と学生用にマイクを2本用意し、学生の発話時はマイクを回してもらう。

教室が狭い場合:スピーカーマイクで対応。(今回この実践例は出ませんでしたが、先ほどの大阪大学のハイフレックス型授業実践ガイドに紹介されていました。)

 

 

デバイスの問題

PCをプロジェクターに通してスライドを見せる場合、PC上の全てがプロジェクターに写ってしまい、手元の作業が学生に丸見えになる。(この点、私は未経験なので詳しく書けません)

IDのあひる先生がプロジェクターを使っていない時は線を抜く!と助言してくれました。

 

 

疎外感の問題(個人的にはこの話が非常に興味深かった。):

オンラインの学生が疎外感を感じるのかと思いきや、実践例を話してくれた最初の2つのケースでは、オンラインの学生を中心にしすぎて、対面の学生が放ったらかしにされているような印象があるらしく、教室に来なくてもいいのでは?と思われていないかと案じている教師の方も。

オンラインもオンサイトもどちらも気を遣っていかないといけないので、まずは自分(と教室環境)がどちらに集中しすぎてしまうかを自覚しておく事。工夫として、先生が教室中心で考えてしまう教師は、オンラインの学生に画面から消える時などは必ず声掛けするなどして、ちゃんとあなたは存在している、ということを意識させる。

また、教室内に遠隔参加の学生を映し出すことで、遠隔側の学生が教室の学生にも存在感を与え、遠隔と教室の学生が直接声掛けするきっかけにもなり、寂しさを感じず参加できたという実践例もいただきました。

 

ちなみにズームのヘルプセンターにこんな情報もありました。この写真のようなやり方だと、先生に取ってはどちらの学生も意識して授業できそうです。

https://support.zoom.us/hc/en-us/articles/360044863972-Hybrid-Classroom-15-25-People-

 

 

 

 

 

目線

PCを使ってスライドシェアをする場合、目線がどうしてもPCになるので(オンライン学生に向かい)、教室の学生が置き去りになりがち。

ちなみにオンラインの学生に上目遣いは怖いと言われ(笑)、PCカメラを目線の高さを合わせている先生も。

教室に集中してしまう先生には、オンラインの学生が自分の見える範囲に入れておく。(オンライン学生を教室の学生にも教師にも共通で見える位置におく、という解決法はないのでしょうか?)

逆にPC目線になりがちな場合、スライドシェアをしていない時にPCを離れる努力をし、そのためにも内蔵マイクだけを使わないという工夫があればいいのかもしれません。(スピーカーマイクの活用?)

 

 

ペアワーク

オンラインだけでやっていた時のが断然楽だったという話でした。ハイブリッドになってからはペアワークはできていないという先生も。

コストの問題が当然ありますが、iPadなどを教室内に用意し、オンラインの学生と教室の学生をペアワークさせる、という方法もあるようです。ヘッドセットとiPadを人数分調達する資金が必要ですね。

 

 

意識の方向

一人でする作業や、「教室の学生」「オンラインの学生」「授業の流れ」という3方向に意識を向けないといけないハイブリッド授業は、まさに神業。藤本先生も、一人の人間の限界を超えると作業と表現していました。

藤本先生は、学生に役割分担をさせて巻き込む、という提案をしていらっしゃいました。なるほど、日直のような感じで手伝ってもらう、という感じでしょうか。

 

 

また、双方向ではなく、講義のような形で行う一方向の授業であればハイブリッド授業はできる、という先生もいらっしゃいました。それを聞いて、オンライン授業に移行したばかりの頃、「オンライン授業は対面授業の代替ではない」という話をセミナーで聞いて感動したのを思い出しました。今回もオンラインや対面の授業内容をハイブリッドに持ち込むのではなく、ハイブリッド授業で活かせる授業内容、という逆視点での模索が必要なのでは…と感じています。

 

 

まだまだ課題の残るハイブリッド授業ですが、問題提起することで、打開策は見えてくることがあります。他の人と共有することで、自分が見えていなかった視点に気がつくこともあります。私自身が実践していくのは今年の末になりそうですが、実践の結果をまたこちらでお知らせしようと思います。

 



ソーシャルディスタンスがなくなる日は来るのでしょうか。