四国遠征の話の途中ですが、今日こんな話を見ました。



札幌ラーメン、博多ラーメンと並ぶ日本三大ラーメンの一つである喜多方ラーメンで、インバウンド向けに1杯3000円のラーメンを提供している店があるという話でした。


インバウンド向け3000円のラーメンと言っても、北海道のニセコのおにぎり1000円、カレー3000円とは訳が全く違い、スープや具材に会津牛を使い、その他の具材も他店では使われないような地元の食材を使い、漆器の箸も持ち帰ることができると、値段に見合っているのではないかという内容となっています。それでも店には苦情の嵐とのことなのですが、上述したようにニセコのとは訳が違うことを理解いただきたい。あくまで超特製ラーメンという位置付けだと思って、わたしはこれを歓迎しています。機会があったら食べてみたいくらい。


このようなことをやるのも、インバウンドで儲かるためというより、喜多方ラーメンの認知度を高めるためです。


で、なんでわたしがこの話をあげたかと言うと、わたし自身喜多方ラーメンが大好物で、年に1〜2回のペース(今はコロナ禍でペースは落ちてしまいましたが)で往復600km以上運転し喜多方までラーメンを食べに行っているのです。そのため年々喜多方の街が衰退しているのを見ると胸が痛いですね。


記事にもありましたが、ピーク時に120軒以上あった店が、現在は80軒を割っているというのです。確かに昔は喜多方の駅前通りにもかなりの数の店があったのですが、今は全くと言っていいほどなく、駅から離れた喜多方市役所の周辺に多くの店が存在します。駅から歩けない距離ではありませんが、駅から移動手段が必要でしょう。


画像はお借りしましたが、喜多方にはこのような蔵馬車と呼ばれるものがあり、これが移動手段として生きていましたが、今では期間限定となってしまいました。



喜多方の問題点について考えられるのは下記のとおりです。


1: 交通の便の悪化


喜多方駅のあるJR磐越西線はこの駅まで電化されていますが、現状ほとんどが郡山〜会津若松間の運転になり、喜多方まで行くには会津若松から気動車へ乗り換えが必要になります。本数も以前に比べれば激減しており、会津若松〜喜多方間の電化設備を廃止するという話が出るくらいです。また、上に書いたとおり駅前のラーメン屋はほぼないのでラーメン屋まで距離を移動することになります。車でも磐越道の最寄りのインター(会津若松または磐梯河東)から30分ほど走らねばならず、目的がなければわざわざ行くこともないでしょう。そういう意味では記事にあるとおりツアーに組み込むのが最善です。ひいてはわたしみたいにリピーターになってくれれば。


2: 喜多方の朝ラー文化とのアンマッチ


記事で夕方にはほとんどの店が閉まっているとありましたが、喜多方は朝ラー(朝からラーメンを食べる)の文化があり、朝7時から開いている店が多いのです。そのため夜を待たずに売り切れてしまうでしょうし、従業員も多く抱えられないので遅くまで営業できません。夕飯を喜多方でという考えだったら確実にアンマッチを生むと思います。


3: 宿泊施設の少なさ


記事にも泊まってくれずにみんな客は会津(若松)に行ってしまう、タクシーも捕まらないとありました。そもそも喜多方には宿泊施設がほとんどありません。観光客は朝か昼に喜多方でラーメンを食べ、その足で宿泊施設の充実している会津やその温泉(東山温泉や芦ノ牧温泉など)、東側の裏磐梯や磐梯高原に向かってしまっています。ですので2で書いた朝ラーを体験してもらうためにも、素泊まりの宿泊施設を増やす必要があるのではないでしょうか。


4: ラーメン以外の魅力の少なさ


喜多方は蔵の街としても有名で古い建物もかなり残っています。が、それは1回見ればおしまいでリピーターを作ることは難しいです。具体的には挙げられませんがリピーターができる施設やスポットが欲しいところですね。


このまま喜多方ラーメンおよび喜多方の街が衰退しないことを期待したいです。


最後に、過去に食べた喜多方ラーメンをアップして締めます。


昨年訪問した「上海」。


チャーシューメンはこんな感じ。各店舗で微妙に味付け等違いますがこれが喜多方ラーメンの基本と言っていいでしょう。


こちらはその前に訪問した「一平」のチャーシューメン。チャーシューはこちらの脂身がある方が一般的かもしれません。



喜多方でもっとも行列ができる「坂内食堂(ばんないしょくどう)」の肉そば。チェーン店に「喜多方ラーメン坂内」があり、坂内食堂の名前を借りていますが、基本的に別物だと思った方がいいです。肉肉しさは他では味わえません。


喜多方はラーメンだけでなく、こういう建物や蔵がある風情のある街です。それだけにラーメン屋以外にも目を向けてもらいたいです。もちろん、ラーメンを食べに行ってもらいたい。