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Minahei

ライター戸塚美奈のブログです。

年末にお手伝いした本、『真冬のタンポポ』が2月に刊行された。

薬物依存者の立ち直りを支援する施設「ダルク」を創設した近藤恒夫さんの本。2009年に刊行された『拘置所のタンポポ』の改訂版。改訂に際し、新原稿を加え(私はそのお手伝いを)、この一冊で、近藤氏の半生と、ダルクの歩み、実際の活動などをまるごと理解できるようになっている。

覚せい剤に手を出すなど、人としてありえない、信じられない、と思うかもしれないけれど、この本を読めば、わが身にもけっしてありえないことではないと気づくはずだ。自分も弱い人間だと自覚できるまっとうな優しい心をもった人ならば、薬物依存者の心の傷みに気づくことができると思う。「薬物依存はさびしいさびしい心の病。薬物依存者にとって、クスリは唯一の友だちなんだよ」と語ってくれた近藤さんの声が忘れられない。

薬物依存者は犯罪者とは違う。犯罪者と扱い、罰することで、彼らは社会復帰の道を断たれ、刑務所入りを繰り返すことになる。孤独だからクスリに手を出すのに、孤独に追い込むことをしている、と近藤さんは言う。

ではどうしたらいいか。今回の改訂版には、実際のダルクの活動についても記したので、実際に薬物依存で苦しんでいる人のための道しるべともなると思う。

プロローグには、近藤さんの恩人、ロイ神父のことが書いてある。ロイさんの口癖が、「人生に失敗なんかない」。うまくいかなかったことは、今のあなたに、もっと大きな何かを教えようとしていることなんだ、と。

 

先日法務省の方に話を聞く機会があり、この本の話をしたところ、10年前はダルクと言ってもあやしい感じで取り合ってもらえなかったけれど、今では、法務省のほうから近藤さんたちダルクに助けを請うこともあり、一目置く存在に変わっている、長年の活動の賜物、すばらしいですね、とおっしゃっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

週末は広島へ。ばっちゃんこと、中本忠子さんのパーティーに行ってきた。昨年は、広島市民賞、吉川英治文化賞、ペスタロッチ―教育賞等々さまざまな賞を受けられた上に、3冊もの本が出版されたとのことでの祝賀会。私がかかわった「あんた、ご飯食うたん?」も、ギリギリ年末に滑り込みができたおかげで、私までご案内いただき、のこのこ出かけてきた。

たくさんの方が中本さんについて語るのを聞きながら、ナルホド、やはり誰にとっても、中本さんの魅力はひと言では表しきれないものなのだァと改めて思ったしだい。

私は、まだ半年ちょっとしか中本さんにお話を伺っていない。実際、ようやく三分の一くらいわかってきたような気がする、という次点でタイムアップとなり、そこで文章を作っていくことになった。まだまだ取材をしたかったけど、版元には出版計画というものがある。ところが、中本さんの言葉を文章にまとめていく中で、不思議と、そのシンプルな言葉に奥行が生まれ、中本さんに話を聞いているときにはわからなかったことが、次々に腑に落ちていくような感覚があった。この本は、本を作るためにまとめて話を聞いて書きおろしたものではない。中本さんが鍋をかき混ぜながら、誰かにちょっと声をかけた言葉も残さず拾い集め、パッチワークのようにして文章をまとめていった。でも、ばらばらのピースをつないでいくうちに、「ああ、こういうことだったのか」とどんどん納得でき、すこしずつ中本さんの信念を文章にできていったのだ。すべての中本さんの行動・言葉に、ひとつの信念が貫かれていて、何ひとつぶれがないからだ。ただひたすら、「子どもを守りたい」という信念。

 

中本さんの声はいつでもあったかい。いつでも「ウエルカム」。どんないかがわしい相手にもだ。「はいよはいよ~」「はい、ありがとう、よろしく」と優しい。でも目は「コワモテ」だ。目でじっと相手を見る。その人が子どもたちを傷つける人間ではないか、一分の隙もなく見張っている。

――すべての人を受け入れる度量の深さと、受け入れた人を守りぬく覚悟。

私にとっての中本さんのすごさは、そこのところ。これは、なかなか言葉で説明するのは難しいし、真似のできることではない。けれど、少しでも近づけるよう、努力したい。

 

 

 

 

年末年始、ネットも開かず、仕事もせず。

年末は家の片づけ。片づけが終わって31日は料理。1~4日は読書。遊びほうけてしまった。時間ができたらブログをいっぱい書きたいな、と思っていたのにこの始末。毎年年始には、「よし!今年こそブログをたくさん更新しよう!」と誓うのだが、今年はそれもできないまま。

年末、ダンナが会社で仕事納めの日、急に朝思い立った。「そうだ、模様替えをしよう!」。前々から必要性は感じていたのだけれど、おみこしが上がらなかった。ダンナの足の調子が悪いので、寝室を1階にうつしたい。2階の寝室のマットを1階に下ろし、1階の私の机と本棚を2階の上げる、という大々的なもの。はっきり言って引っ越し。明日からダンナが家にいる。その中で模様替えをするのは無理。だいたい彼はキケンなことをするのを嫌うので、これまでも数々の模様替えは彼が留守のときに無断でやってきた。帰って来てビックリした顔を見るのも楽しみだし。それに、いずれは模様替えをしないといけないと思いながら正月をすごすのもいやだし、そうなると掃除も片づけも模様替えをしてからになってしまう。やっぱり今、ダンナがいないうちにやってしまうしかない。

次男は午後から予備校に行くというので、午前中、マット下ろしを手伝ってもらおう、と決めた。「一緒に下ろすの手伝ってくれる?」と聞くと「いいけど」とのこと。机や本棚は、階段を使い、何度も自分ひとりの力で上へ上げたり下へ下ろしたりした経験があるので、問題なし。問題はダブルのマットダンナと私と犬が寝ているやつ。買ったときにも、配送の人が二人がかりでベランダから2階へ上げてくれたのだ。これを階段を使って下ろすのは無理。

次男の手があるうちにさっさとやらないと。マットにビニールテープを4カ所ほど巻き付け、長くたらす。長くたらしたテープを持ってベランダからつるし、下に下ろすという作戦。せっせとビニールテープを巻き、ベランダや下の庭先に新聞紙をひいたりしていると、次男が不安そうに見ている。「どうすんの、それ?」 「だいじょうぶ、まぁ見てなさい」 とは言ったものの、自信はない。このマット、かなり重いのだ。ベランダの手すりを越えさせるだけでも一苦労だろうということは目に見えている。「でも、まぁピアノを下ろすわけじゃないからさ。いざとなったら庭に落としちゃえばいいから。ハハハ」幸い今は庭の家庭菜園も休耕状態であることだし。

準備ととのい、次男を呼ぶ。そして、手のひら部分にガッチリ、ゴムの突起がついた軍手を渡す。「これをはめるとやりやすいよ」。そして、二人がかりでえっちらおっちらマットをベランダに運ぶ。ふうふう言いながら、えいやっと片方をエアコンの室外機に乗せる。「ビニールひも、持って!」一人で二カ所ずつ、ビニールひもを持つ。「落とすよ!」マットを返して下に落とす。しゅるしゅるとビニールひもが軍手の中で音を立てる。しっかり4カ所のひもが握られたまま、ベランダの手すりに添ってマットが宙吊りになる。ここで思わず「やった!」とニヤリ。「少しずつ下ろすよ!」しゅるしゅると少しずつビニールひもを落としていく。やがてマットは地面につき、そのままゆっくり倒すことに成功。「わぁーうまくいった!!!」自画自賛。次男はあきれて、「オレ、予想外にうまくいったからびっくりしたぁ。絶対失敗して取返しのつかないことになると思ったんだよね…」だって。じつは私も、こんなにうまくいくとは思っていなかったんだけど。「この軍手がよかったよね」と次男。そそそ、この軍手でなければ、手が火をふいてたね。

あまりに首尾よくマットを下に下ろせたため、それまでいろんなことをグズグズしていたのが嘘のようにはりきり出し、その日一日で模様替えを敢行。(そのあと本の入れ替えやらで丸3日かかったが)

自分も年をとって体力がなくなり、このところ模様替えだの庭掃除だの、気力が続かなくなってきたよなぁ、と思っていたのだけれど、とんでもない、ぜんぜんまだまだ大丈夫だった。「今やるしかない!」となったら、案外やってしまうものなんですねェ。

それにしても、帰ってきたダンナが喜んでくれてよかった。おかげさまで正月中安心して酒を飲めたようだし。やっぱり2階がよかったといわれたらどうしようかとちょっと心配してた。2階にマットを戻すなら、またビニールひもをつけて、今度は二人でひっぱるだけでは無理だし、ウチの犬でもダメだから、馬かなんかに引かせないと、なんて・・・・・・・。

 

カンゼン刊 本体1400円+税

夏から何度も広島に通い、なんとか年内刊行に間に合った。

NHKスペシャルで全国的に話題を呼んだ、広島のマザーテレサ、「ばっちゃん」、中本忠子さんの本。ライティングを担当した。

中本さんは、広島市に住む、元保護司。現在はNPO法人「食べて語ろう会」として活動している。保護司とは、保護観察処分になった人の相談役として見守り、再犯しないようにするというボランティア活動。中本さんは、犯罪を犯したり、非行に走る子どもたちのほとんどが、居場所もなく、孤独で、おなかをすかせているということに気づき、自宅に受け入れ、ご飯を作り、食べさせ、たくさんの少年たちを更生させてきた。現在保護司は引退したけれど、活動はNPO法人となり続いている。

今年の正月にNHKのスペシャルを観たとき、本当に感動して、もっと「ばっちゃん」のことを知りたい、と思った。そしたら、同じことを考えている編集者がいた。不良少年たちを更生させてきた中本さんのノウハウを学べば、もっと私たちも、子育てがうまくなるのでは? 教師たちも、子どもとの付き合い方がわかるのでは? と。カンゼンの編集者Tさんからの依頼を受けて、二つ返事で「ばっちゃん」の本の取材が始まった。

しかし実際には、取材はとても大変。ふつうの語り下ろしのように、何時間かまとめて話を聞くような時間は取れない。始終中本さんに連絡を取りた人から電話が入るし、子どもたちが訪ねてくれば子どもたちの相手をすることのほうが大事だ。子どもの居場所となり、子どもたちの話を聞くことが中本さんにとって最も大切なことであることがわかるだけに、無理やり取材のために拘束することはできず、結局何度も足を運ぶことになった。でも、そのおかげで、中本さんの貴重な言葉をたくさん拾うことができたと思う。

 

中本さんやスタッフと、子どもたちとの接し方の様子を眺めるうち、いつのまにか、私自身、子どもたちへの対応の仕方が変わった。劇的に変わった。

怒らなくなった。否定しなくなった。焦らなくなった。

 

目次からいくつか項目をピックアップしてみる。

・子どたちにはあれこれ聞かない

・指導よりもまず共感

・子どもを信じることこそが特効薬となる

・子どもとの約束を守る

・叱るときには短く。人前では言わない

・愚痴や弱音は、言わせておく

・心配する、がっかりする、は子どもを信じていないから

・・・などなど。

 

詳しくは本書をぜひ読んでほしい。

それに加えて、ひとつだけ。中本さんへの取材を通して、私が一番目からウロコが落ちた、中本さんを理解するキーとなったひと言がこれ。

「欲を捨ててごらん」。

 

NHKのスペシャルでは、なぜ、「ばっちゃん」がそこまで子どもに尽くすのか、なぜそこまでできるのか、ばっちゃん本人は語っていない。でもこの本を読めば、なぜ、ばっちゃんがそこまでするのか、わかってもらえるのではないかと思う。

 

中本さん、ほんとうに大きな人で、半年くらい取材しただけでわかったように書くわけにはいかないのだけれど、それでも、何回も講演にも足を運び、子どもたちとの接し方を横で見ていて、拾い集めた中本さんの言葉を、できるだけわかりやすくまとめた。取材が終わったあとも、しつこく何度も何度もお電話やファックスで相談しながら。最後はさすがの中本さんも風邪を引いてしまった(ごめんなさい!!)。

 

きっと、子どもとの付き合いかたに悩んでいる人の役にたつと思う。たくさんの人に読んでもらいたい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私自身も、お正月に『ばっちゃん』のNHKスペシャルを観ていたく感動した一人。

 

 

 

 

 

こんなになるまでユニクロの服を着たおす人が、いったい今の日本にいるのだろうか。仕事が忙しくて放置しているうちに、家族の部屋着がこんなんなっていた。これ、正真正銘、ダンナと次男が2日に一度は着ているもの。他にも数枚はあるはずなのに着やすいのかこれを選んで着る。仕事が終わったら縫おう!じゃなくて、買いますよ…。しかし最近、ユニクロに行くと、どうもリサイクル用古着の入れ物の中が気になる。よさげな物がいっぱいあって、「ちょうだい」って言いたくなるんだよねぇ。