コンビニで宅急便の支払いをしていたら、私の横に次のお客さんらしきお年寄りがピタリとくっついて、レジ台にしがみついてくる。宅急便の処理に時間かかってるとはいえ、この時期に密すぎるんではと思いつつ見ると、「あっ!あのおじいちゃん!!」
大分前のことなのだが、近所のコンビニに買い物に行ったときのこと。レジカゴを取ろうとすると、イートインコーナーで、歩行器から腕を滑らせたおじいさんが歩行器の中に腰を落としてしまい、それを小柄な女性の店員さんが助け起こそうとしながら悪戦苦闘している。
あーっ、これはマズイ、一人じゃ無理。
「手伝います!ウチの家族も足悪いんでわかります!」と言って店員さんと二人がかりで「よいしょ!」とやったけど全然ダメ。
おじいさんはやせているけど、骨格がしっかりしていてやっぱり大きい。
するとちょうどそのとき店内に入ってきた若い、黒いTシャツを着た男性が、「あ、僕がやります!僕介護の仕事してるんで‼」と言ったが早いか、「ちょっといいですか」とおじいさんの後ろに回り、しっかり腰を押さえて自分の腹部で支え、「フムッ!」と一瞬で起こしてくれた。お見事‼
おじいさんは無事歩行器に両腕をかけ、立ちあがる。「わーっ!!!」と店内に歓声。店員さんも私も拍手。「ありがとうございます、ありがとうございます」という店員さんに、目をキラキラさせた黒いTシャツの若い人は「いや自分、慣れてるんで」。すごいイケメンに見えた。
一方おじいさんは憔悴しきった様子で、歩行器にしがみついたまま茫然としている。店員さんは心配して、「ちょっとここで休まれては」とイートインコーナ―の椅子をしきりに差し出す。いやいやとかぶりを振るおじいさん。ウチの夫と同じように、いすに座ることができないから歩行器なのだよなぁと思い、「いすは座るの難しいんじゃないですか」と言うと、困った店員さん、「じゃ、おうちの人に連絡しましょうね」すると別の店員さんが「私どこだか知ってる。ね、今ちょっと行ってピンポンしてきますね」。すると、おじいさん、血相を変え、「やめてやめて!!! 家に行かないで!!! 絶対しないで!!!」。
興奮してまたすべり落ちてしまいそうな勢い。
あきらめた店員さんが「じゃ、今日はお買い物どうされますか? 今日はやめます?」と聞くと、おじいさん、荒い鼻息を出しながらひと言、「鏡月2本!!!」。
店員さんも私もコケました。というのは嘘ですが。
一昨日隣にいたのが、そのおじいちゃん。また鼻息荒く顔を上げて、店員さんに「あれね、あれね」と言っている様子。私が心配するでもなく、店員さんも慣れた感じで、「ハイハイ、今持ってきますね」とレジから出る。目をむいたのだが、持って来たのは鏡月のペットボトル2本。えーっ、おじいちゃん、ペットボトルで買ってたのォ!?
家族の目を盗んで買いに来てるから、家族に連絡されたくないんだよね、と思っていたけど、そうではなくて、きっと、自分の楽しみのために、自分の力で自分の責任で買いに出たいという気持ちなんだろうなぁ、と、鏡月2本を歩行器にぶらさげてひたひたと変えるおじいさんを見ていて思った。
鏡月2本のお買い物は命がけである。
あの迫力には、ちょっと話しかけることははばかられるが、
今度会ったら、「お父さん、鏡月はロックですか」とか、聞いてみたいなぁ。
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