弁護士の武井です。

 緊急事態宣言が再発令されました。また、入院勧告を拒否した感染者に対する罰則を設ける等の法改正が議論され、水際対策との関係では自己隔離に応じなかった個人に対し氏名公表等の措置が講じられると報道されています。

 しかし、報道等で「自粛」「要請」「罰則」等々のキーワードを耳にすることはあっても、「どのような法的根拠で」「どのような義務を負い」「当該義務違反に対しどのようなペナルティが予定されているか」は必ずしも明確に理解されていない方が多いように思います。

 今回はコロナ関係の法制度の概要を解説したいと思います。

 

1.緊急事態宣言とは何か

 まず、関連する法律として感染症法と新型インフルエンザ等対策特別措置法とがあります。それぞれの概要を説明します。

(1)感染症法(以下「法」といいます。)

 現時点では、新型コロナウイルス感染症(以下「コロナ」といいます。)は法の「指定感染症」に分類されています。法では検体提出、健康診断受診の強制、就業禁止(違反には罰金が予定)、強制入院等の規定が設けられています。それぞれ対象となる感染症の種類が法で定められているのですが、コロナは内閣が定める「新型コロナウイルス感染症を指定感染症として定める等の政令」によって、これらの規定が準用されることになっています。

 現在、同法の改正が議論されているようです。具体的には、コロナを同法の「新型インフルエンザ等感染症」に分類すること(指定感染症は暫定的な分類のため)、強制入院の前段階で行われる入院勧告に従わない者に対する罰則の創設等が議論されているようです。

 

(2)新型インフルエンザ等対策特別措置法(以下「特措法」といいます。)

 緊急事態宣言は特措法に根拠条文があります。同宣言の発令までのフローは以下のとおりです。

①法の規定に基づき新型インフルエンザ等の発生を公表

②政府対策本部及び都道府県対策本部の設置

③政府対策本部は基本的対処方針を定め、これを公示する

④「新型インフルエンザ等が国内で発生し…その全国的かつ急速なまん延により国民生活及び国民経済に甚大な影響を及ぼし、又はそのおそれがあるものとして政令で定める要件に該当する事態が発生」→緊急事態宣言の発令

 

2.緊急事態宣言に関連して、どのような義務及びペナルティが予定されているか

 緊急事態宣言が発令されると都道府県知事は

Ⓐ住民に外出自粛等の協力の要請

Ⓑ一定の「多数の者が利用する施設」の使用制限、休業等の要請又は指示(公表が予定)

Ⓒ土地、建物、物資の使用

Ⓓ医薬品等の売渡要請及び収用等(一定の場合に罰金が予定)

Ⓔ立入検査、等の措置をとることが可能となります。

 上記Ⓑに関連して、緊急事態宣言発令前であっても上記②以降であれば、都道府県対策本部長は「公私の団体又は個人に対し」「協力の要請」が可能なのですが、この場合は協力要請に違反しても公表を行う旨の規定がありません。緊急事態宣言発令後の使用制限等の要請には、違反した場合に公表という事実上のペナルティが予定されている点が大きな違いです。実際に前回の緊急事態宣言下では一定のパチンコ店等につき公表が行われました。

 「公表」に関連して、水際対策との関係で14日間の待機要請等に従わない場合の氏名公表について法的根拠は不要との認識が内閣官房長官より示されたとの報道があります(https://www.nikkei.com/article/DGXZQODE144620U1A110C2000000)。「…先方の同意も前提としている」との説明からは、同意をしない者については氏名公表を行わないという意味にも読み取れますが、どうなるのでしょうか。今後の運用を注視したいところです。

 なお、一定の飲食店等に給付される休業要請協力金は上記Ⓑの効果ではなく、政策的給付と整理されており、特措法には上記Ⓑに対する補償の規定は設けられていないようです。

 

3.経営者の方へのメッセージ

 駆け足ながら、コロナに関して、「どこまでが義務で、どのようなペナルティがあるか」を解説してきました。経営者の方々(特に飲食店経営者の方!)は日々難しい判断を迫られていると思います。私としても「ペナルティがなければ何でもして良い」などと言うつもりはありません。しかし、休業や時短営業も大きな負担である以上、どのような選択肢があるのか一度冷静になって分析・検討する必要があります。

 当事務所では、コロナへの対応に関して各種給付金等の内容も踏まえ、経営者の方々にアドバイスを提供しております。お困りの方はぜひご相談ください。

 

 

弊事務所ホームページ https://www.minagawa-law.com

国際取引・英文契約の特化サイト開設しました!http://www.kokusai-torihiki.jp

顧問弁護士どっとJP開設しました!http://www.komonbengoshi.jp