ゲイのみなづち(@minaduchi)です。

 

日本はG7で唯一、同性カップルに対する国レベルの法的保護制度を持たない国です。

 

その結果、30年待っても国会は動かず、当事者は「外圧」という選択肢に目を向け始めています。

 

今日は、「外圧」が日本の法制度改革でどう機能してきたかを振り返ります。

 

全国6つの高等裁判所のうち5つが「違憲」と判断し、世論調査では約6〜7割が同性婚に賛成。それでも国会は動きません。なぜでしょうか。

 

「外圧でしか変われない国」という言葉を聞くと、多くの人は「情けない」と感じるかもしれません。しかし、日本の法制度改革の歴史を振り返ると、外からの力が変革の触媒として機能してきた事実が浮かび上がってきます。

 

1985年の男女雇用機会均等法、2014年のハーグ条約、2023年のLGBT理解増進法。これらはすべて、国際的な圧力がきっかけで成立したとされています。

 

この記事では、「外圧」を恥ではなく戦略的資源として捉え直し、同性婚実現に向けて歴史から何を学べるかを考えていきます。

 

同性婚30年、「外圧でしか変われない国」と呼ばれて

 

国内の議論だけでは動かなかった政策が、国際社会からの圧力をきっかけに動き出す。この現象は、同性婚を求める当事者にとって、苦しみであると同時に、戦略的な希望でもあります。

30年、待った

1990年代から、日本でも同性カップルの権利について議論が始まりました。

 

しかし30年が経っても、国レベルの法整備は実現していません。

 

地方自治体のパートナーシップ制度は530を超え、人口カバー率は92.5%に達しました。

 

それでも、これらの制度には法的拘束力がありません。

 

相続権も、配偶者控除も、遺族年金も、原則として対象外のまま。

 

国会議員に手紙を書きました。

 

署名を集めました。

 

デモにも参加しました。

 

それでも、法律は変わりませんでした。

「売国奴」と呼ばれても

ある日、私は決意しました。

 

英語で発信を始めよう、と。

 

日本の現状を、世界に伝えよう、と。

 

「外圧に頼るのか」「売国奴だ」という声が聞こえてきます。

 

正直に言えば、私自身もその言葉に傷つくことがあります。

 

できることなら、日本が自分の力で変わってほしかった。

 

でも、30年待っても変わらなかったのです。

 

私にはもう、時間がありません。

世界に向けて、書き始める

"Japan is the ONLY G7 nation without same-sex marriage."

 

私はこう書きました。

 

これは批判ではありません。

 

事実です。

 

G7の中で、同性カップルに対する国レベルの法的保護制度がないのは、日本だけ。

 

この事実を、世界中の人に知ってもらいたい。

 

そして、国際社会の目が日本に向くことで、変化のきっかけが生まれることを願っています。

 

【注】以上は問題を説明するための事実に基づいたストーリーです。以下に実際の状況を説明します。

 

同性婚と「外圧」:なぜ日本で機能するのか

 

日本では「外圧」が法制度改革の強力な触媒として機能してきました。その背景には、日本特有の政治構造と外交心理があります。

 

国際政治学において、日本はしばしば「反応国家(Reactive State)」と呼ばれてきました。

 

外部からの圧力に対して受動的に適応する傾向を指す学術用語です。

 

この特性は、国際社会の規範を取り入れることで国内の岩盤規制を打破する「窓」として機能してきた側面があります。

 

では、なぜ国内で直接訴えるだけでは不十分なのでしょうか。

 

30年間、当事者たちは声を上げ続けてきました。署名活動、デモ、ロビイング。それでも国会は動かない。国内の利害関係者が強固な抵抗勢力を形成し、均衡状態が崩れないからです。

 

国際政治学者のケックとシッキンクは「ブーメラン・パターン」という理論を提唱しています。国内で直接訴えても動かない場合、国境を越えて国際社会と連帯し、外部から圧力をかけるプロセス。同性婚を巡る日本の状況は、まさにこのパターンが適用可能な典型例でしょう。

 

G7の中で日本だけが人権基準を満たしていないという事実は、単なる政策の違いではありません。

 

国家の品格に関わる問題として認識される傾向があり、この「名誉」と「恥」の感覚が外圧を有効にするメカニズムの一つです。

 

同性婚の先例:男女雇用機会均等法とCEDAW

 

1985年の男女雇用機会均等法は、外圧が日本の法制度改革を動かした最も象徴的な事例です。

 

この法律は、国連の女子差別撤廃条約(CEDAW)批准という国際公約がなければ、成立が困難だったとされています。

 

1980年代以前、女性労働者は法的に明確な差別的取り扱いを受けていました。当時の国内議論は完全に膠着状態。労働組合や女性団体が差別撤廃を求める一方、経営者側は「日本的雇用慣行」を盾に強硬な抵抗を続けていたのです。

 

この膠着状態を打破したのが、1979年に国連総会で採択された女子差別撤廃条約(CEDAW)でした。日本政府は1985年までに批准することを国際公約として掲げます。

 

「国際社会の一員として、条約を批准できないことは許されない」という論理が、国内の抵抗を封じ込める武器となりました。

 

制定当初の法律は「努力義務」のみで、実効性には疑問が残りました。

 

しかし、一度法律ができれば、その後の改正への道が開かれます。1997年には禁止規定への強化が実現。2006年改正(2007年4月施行)では間接差別の禁止も導入されています。

 

外圧は、最初の最も重い扉をこじ開けるための「バール」として機能したと言えるでしょう。最初から完璧な法律を求めるのではなく、まず「法的な枠組み」を作ることが、その後の改善への第一歩となり得るのです。

 

同性婚への示唆:ハーグ条約とG7圧力

 

2014年のハーグ条約加盟は、「G7で唯一」という事実が日本政府の意思決定に決定的な影響を与えた事例です。現在の同性婚を巡る状況と構造的に類似しており、最も参考になる先例かもしれません。

 

ハーグ条約は、国際結婚が破綻した際の子供の取り扱いについて定めた条約。日本では、日本人の親が海外に住む配偶者の同意なく子供を連れ帰る事例が多発していました。

 

日本は国際社会から「子供の連れ去りのブラックホール」という不名誉なレッテルを貼られました。FBIが日本人女性を指名手配する事態にまで発展。

 

北朝鮮の拉致問題を訴えている日本が、逆に「拉致国家」と呼ばれる皮肉な状況でした。

 

米国議会では公聴会が開催され、2011年にはヒラリー・クリントン国務長官が条約加盟を強く求めました。日本国内では慎重論も根強くありましたが、最終的に政府は加盟を決断します。

 

その決定打となったのは、「G7の中で日本だけが未加盟」という外交的損失への恐怖だったとされています。TPP交渉などの重要局面で、日本が「法の支配」を尊重しない国と見なされることは国益を損なうと判断されたのです。

 

この事例から学べることは明確。

 

「G7で唯一」という事実は、日本政府にとって無視できない外交的プレッシャーになり得ます。同性婚についても、この事実を国際社会に広く認知させることで、政府を動かす力になる可能性があるのです。

 

同性婚に最も近い事例:LGBT理解増進法

 

2023年6月に成立したLGBT理解増進法は、同性婚運動にとって最も直近かつ最も関連性の高い「外圧」事例です。

 

内容は「差別禁止」から大きく後退しましたが、成立の経緯には外圧のメカニズムが明確に作用しています。

 

G7広島サミット(2023年5月)に向けた国際的な注目が高まる中、ラーム・エマニュエル駐日米国大使がかつてないほど公然と介入しました。G7各国の駐日大使らと共に「日本は変わるべき時だ」と訴えるビデオメッセージを発信したのです。

 

エマニュエル大使の発言がメディアで大きく取り上げられ、LGBTQの権利問題が「外交問題」へと格上げされました。閉塞していた自民党内の議論を強制的に活性化させる効果があったとされています。

 

さらに、ACCJ(在日米国商工会議所)や経団連も強く法整備を求めました。「LGBTQフレンドリーでない日本は、優秀なグローバル人材を惹きつけられない」という経済的合理性に基づく主張です。

 

これは「人権 vs 伝統」という対立軸を「成長戦略 vs 停滞」にずらす効果がありました。保守的な政治家に対しても説得力を持つ「新しい外圧」の形と言えるでしょう。

 

この法律が成立した最大の要因は、G7サミットという「外圧のタイムリミット」の存在。当時の岸田政権は、サミットのホスト国として外交的メンツを守る必要がありました。

 

G7広島サミット(2023年5月)の国際的な視線が後押しとなり、同年6月に成立。外圧がなければ法案の提出すら見送られていた可能性が指摘されています。

 

世界が変わった瞬間:イタリア、台湾、タイと同性婚

 

日本と同様の課題を抱えていた国々が、どのようにして変化を実現したのか。イタリア、台湾、タイの事例は、日本の同性婚運動にとって貴重な教訓を提供しています。

 

イタリアは、G7メンバーでありながらカトリック教会の総本山を抱え、長らく西欧で唯一、同性カップルへの法的保障を持たない国でした。2015年の欧州人権裁判所「オリアリ判決」が政治的不作為を打ち破り、2016年に「シビル・ユニオン法」が成立。当時のレンツィ首相は「イタリアは欧州の恥である」というレトリックで反対派を封じ込めました。

 

【日本への示唆】国際司法機関の判断が国内政治を動かす強力なてこになり得ること。日本には欧州人権裁判所のような機関はありませんが、国内の高裁判決(6件中5件が違憲判断)という司法の声を国際社会に発信することで、同様の効果を生み出せる可能性があります。

 

台湾は、2019年にアジアで初めて同性婚を法制化しました。2017年の司法院大法官会議による違憲判断が決定的でした。中国との対比において「民主主義、自由、人権を尊重する国」というアイデンティティを国際社会に示す外交戦略でもあったのです。

 

【日本への示唆】人権先進国としてのブランディングが外交資源になり得ること。日本が「アジアの民主主義リーダー」を自任するなら、台湾やタイに先を越された現状をどう受け止めるか。同性婚の法制化を「国際社会でのリーダーシップ強化」という文脈で位置づけることが有効です。

 

タイは、2024年に「結婚平等法」が成立し、2025年1月に施行されました。仏教国であり伝統的な価値観が根強い社会ですが、LGBTQフレンドリーな国としてのイメージを国際戦略として活用。観光産業の振興、海外投資呼び込み、国連人権理事会理事国への選出を目指す意図があったとされています。

 

【日本への示唆】「人権 vs 伝統」という二項対立を避け、「経済的利益」という共通言語で保守層を説得する戦略の有効性。日本でも「グローバル人材の獲得」「国際競争力の強化」という経済的観点から同性婚の必要性を訴えることが、政策決定者を動かす説得力のあるアプローチとなり得ます。

 

よくある質問(FAQ)

 

同性婚と「外圧」について、よく聞かれる疑問にお答えします。これらの疑問は、多くの方が感じる自然な反応であり、真剣に向き合うべき問いかけです。「外圧」という言葉に抵抗を感じる方にこそ、ぜひ読んでいただきたい内容です。

 

Q1:外圧に頼るのは「売国」ではないのか?

「外圧に頼る」という表現には、確かに否定的なニュアンスがあります。しかし、歴史的事実として、日本の重要な法制度改革の多くは国際的な規範や圧力がきっかけで実現してきました。

 

男女雇用機会均等法も、ハーグ条約も、LGBT理解増進法も、外からの力が変革の触媒として機能したのです。これらの法律を「売国的」と呼ぶ人は少ないでしょう。

 

むしろ問題なのは、国内で多数の市民が求め、司法も違憲と判断しているにもかかわらず、国会が動かないという「民主主義の機能不全」の方ではないでしょうか。国際社会との連帯を通じてこの機能不全を打破しようとすることは、民主主義を機能させるための正当な手段の一つと考えられます。

 

Q2:外圧がなくても日本は自分で変われるのでは?

理想的にはそうであるべきです。しかし、現実には30年近く国会が動いていません。世論調査で約6〜7割が賛成し、全国6つの高等裁判所のうち5つが違憲判断を示しているにもかかわらず、法制化の見通しは立っていないのです。

 

外圧に頼らざるを得ないこと自体を嘆くよりも、それを戦略的に活用して変化を実現することが、現実的なアプローチではないでしょうか。変化が実現した後は、自律的に改善を重ねていくことができます。男女雇用機会均等法がその好例です。

 

まとめ:「恥」を「力」に変える

「外圧でしか変われない」という言葉を聞くと、多くの人は「情けない」と感じるかもしれません。私自身もそう感じることがあります。できることなら、日本が自分の力で変わってほしいと心から思っています。

 

しかし、日本の法制度改革の歴史を振り返ると、外からの力が変革の触媒として機能してきた事実が見えてきます。男女雇用機会均等法、ハーグ条約、LGBT理解増進法。これらはすべて、国際的な圧力がきっかけで成立したとされています。

 

外圧は「恥」ではなく、変革のための「力」になり得ます。

 

G7で唯一同性婚がないという事実。全国6つの高裁のうち5つが違憲と判断している事実。世論調査で約6〜7割が賛成している事実。これらを世界に発信することで、国際社会からの関心を高め、政府に変化を促すことができるかもしれません。

 

30年待っても変わらなかった現実に、私たちはもう待てません。世界中の目がこの国に向くまで、書き続けます。

 

よければ、この記事をシェアして、日本の現状を世界に伝える力を貸してください。

 

筆者より

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

 

「外圧」という言葉に抵抗を感じる方もいらっしゃるかもしれません。私自身も、できることなら日本が自分の力で変わってほしいと心から思っています。

 

しかし、30年という歳月は、私たち当事者にとってあまりにも長いものでした。その間に、パートナーと正式に家族になることを夢見ながら、叶わないまま人生を終えた人もいます。病院で「ご家族ですか?」と聞かれ、「違います」と答えざるを得なかった人もいるのです。

 

私たちは、隠れ場所がほしいわけではありません。陽のあたる場所に、居場所がほしいのです。

 

この記事が、同性婚について考えるきっかけになれば幸いです。もし心に響くものがあれば、ぜひシェアしていただけると嬉しいです。

 

この記事をもっと詳しく読みたい方へ

より詳しい情報は、ブログ記事で解説しています:

 

https://minaduchi.blog/marriage-equality-gaiatsu-history

 

この記事の元になった投稿はこちら

https://www.threads.com/@minaduchi/post/DT3s4gnk2GS

 

参考資料

・女子差別撤廃条約(CEDAW)に関する外務省資料

・ハーグ条約に関する外務省資料

・欧州人権裁判所「オリアリ他 対 イタリア事件」判決

・台湾司法院大法官会議「解釈第748号」

・G7広島サミットに関する各種報道

・渋谷区×認定NPO法人虹色ダイバーシティ共同調査

 

 
※この記事には、問題を理解しやすくするための事実に基づいたストーリーが含まれています。ストーリー部分はプライバシー保護のため匿名化・再構成・表現調整を行っています。ストーリー以外の内容はすべて公開情報に基づいています。