7月10日 6:00    



オカンと弟と私が寝た部屋は ・・・ 実は ・・・

昼間はドクターが家族に説明をしたり ドクターと研修生?が

話をするような ・・・ 言わば「談話室?」みたいな所でした


(4畳半くらいのスペースにソファーと向かいにシングルが2つ)


オカンはソファーで弟はシングルソファーをつなげてベッド代わりに

私ですか? 空いた床に毛布を1枚ひいてその上にタオルケットを

かけて寝たので 起きたら ・・・ 体が痛い ・・・

でも3人共「熟睡」はしてませんが ドア横の電話が真夜中に

鳴らなかった事だけが 「一安心」でした



       

9:00    



弟に午前中は面会が出来ないからオカンを連れて家に

戻し 少し休ませろ!とつれて帰宅させる (3時間だけですが)

その間 オトンを待つ場所は ・・・

ICUの前に連なるベンチシートのみ ・・・

座りながら 何を考えるわけでもなく ただ時間が過ぎていくんですが


急に大勢の方達がICU通りに来ました

およそ 家族 + 親戚大勢  そうですね15名前後ですか

おそらくオトンと一緒で救命の専用エレベーターでの受け入れです

しかしながら この数は ・・・ 危ない状態なんでしょうね


2時間後 その方達の号泣が廊下に響いてます

どうやら亡くなった方は 20代の女性ですね

お母さんらしき人の取り乱し方 集まってくる友人達?らしき

20代の女性の数から見ると そうであると思いましたが

自分があの場面に出くわす「心の準備」はまだ出来てないので

正直 ・・・ 「今はカンベンだぜオトン オカンもまだ戻ってないし」




11:45    



オカンと弟が戻って来た 最初の言葉は 「何にも無いんだね?」

「あれば電話するよ 昼飯にしよう さっき今日の担当の看護士さんに

携帯の番号は教えてあるから 」


病院内にあるコンビニで買って その前にあるテーブル席で

食事をするのが 慣例化してきていたんだが

今思い起こすと ・・・ メニューはそれぞれ意識して変えていたんですが


何 食っても ・・・ 同じ味?というか

味がわからないくらいの「緊張感」がつきまとってました   




14:00    



この時間からは 「面会」が許されるのだが ・・・

ICUのインターホンを押して返って来る答えは 


「只今まだ 処置中なので整いましたら声をかけますから」


そう言われれば 待つしかない

ICUの面会は 14:00 ~ 17:00 なのだが

現在の時間は ・・・ 16:30 ・・・


かなりイヤな空気が漂う 当然ながら誰も喋らなくなる




16:40    



今日の担当の看護士さんが廊下に出てきた ・・・

3人でその看護士さんを見た時 「笑顔」であったから救われた


しかしながら ・・・ オトンのスペースに入ると

多くのモニターに表示されている「数値」は昨日とは違っていた ・・・


脈拍 100  血圧 57 - 38 


心拍数は人工呼吸器で保たれているが ・・・

血圧は確実に下がっていた 正確ではないが人工透析機を

循環してる血液の色が ・・・ 濃くなってる気がした

血圧が下がってる  昇圧剤を投与しても下がってるのである

およそ10数分でICUを出て


誰も言葉を口に出来なかった




17:30    



ICUの看護士さんが昨日と同じ部屋を手配してくれて

ソファーに無言で座っていた時 電話が鳴った ・・・


「こちらICUですが担当のドクターがそちらに伺います」


私はそのままの言葉をオカンと弟に伝えた

電話を聞いて 最初の「心の準備」にスイッチが入った


ドクターからの言葉は単純明快でした


「最先端の治療を行なってますが数値があがりません ・・・

親類の方がいましたら呼んで下さい

「時間外」ですが面会を許可しますので 」




21:00    



この頃には多くの親戚が集まって面会をしていたらしい

ナゼ?らしいのかと言うと この時間は自宅に戻ってました

そうですね 往復1時間だから自宅に戻り

シャワーを浴びて3日間伸びたヒゲ剃ってました

どうしてそんなに余裕があったのかって?

「時間単位」のレベルなら そんな事は言わないだろうという

オカシな「信頼感」だけです




23:00    



戻るとオカンがやっぱり落ち込んでいるのがわかったが

あえて3人で話をした 切り出したのは私でした


「オカン 今のオトンはオカンの知ってるオトンか?」


無言で首を振るオカン


「体にラインが何本も入って ・・・ 今は器械の力で

生きてるだけだよな ・・・ オカンがイチバン顔見てられない

それが現実の1番目で 2番目は ・・・ 」


「昨日より下がった ・・・ 数値だろう ・・・ 」


弟が口を開いた


「これは俺の一つの提案だ ・・・ 強制じゃない ・・・

あの姿のオトンは俺も見れない ・・・ そして ・・・

ここの高度救命救急医療のベッドなら器械で生きてるだけなら

数日は生きてられる ・・・ だけど ・・・ ここのベッドで

助かる患者もいるよな ・・・ 俺の意見は「延命措置」なら

オトンを楽にしてやりたい ・・・  」



弟は頷いていたが オカンはまだ整理がつかない様子だった

部屋を出て トイレの個室でタオルを噛みながら 泣いた ・・・


戻るとオカンの口から


「もう 葬儀の準備しなきゃ葬儀屋にボラレるよ 話しよう!」



今日起きてからの「段取り」を話して 寝る準備をしたが

ここに泊まってる間 怖かったのが


電話の音と暗闇でした ・・・  


だから毎日電気は消せませんでしたね






この後  朝まで電話が鳴る事はありませんでした











それでは  また  m(_ _ )m 雅(MIYABI)でした