田舎の閉鎖された地域性が生み出す不幸なエピソードは数多あり、そこに馴染めず除外対象とされた人たちの負の連鎖による救いのなさは、常軌を逸した気味の悪さも手伝い、小説とはいえ読むに耐えない。でも一言であらわすとこの作品は非常に「好み」だった。
『地検のS』シリーズを読み終えたあと、さらに絶不調真っ只中な日々に突入し、得体の知れない絶望感や出口の見えない虚無感に苛まれていたが、この一冊の放つ闇の深さに包まれることで逆に浄化され、澱んでいた靄が少しだけ晴れた。
鬱々とした日々に読み進めるにはピッタリな一冊だったな、と今思えばポジティブな感想を抱く。