東京都西東京市のひばりヶ丘にある「みむら矯正歯科」の院長 三村です。
厚労省が推進する専門医制度に則り、日本歯科専門医機構が日本歯科医師会主導で発足し、歯科の専門医制度がスタートし、矯正歯科の専門医ができたことは前回のブログでお伝えしました。
日本歯科専門医機構ができる前には、公益社団法人日本矯正歯科学会が応募者の教育歴や論文執筆能力に加え症例審査を行い、日本矯正歯科学会認定専門医を認定していました。
専門医制度発足に際して日本歯科専門医機構が絡んできたことで、旧専門医制度を見直すことになりましたが、臨床指導医と名称変更をして、まだこの制度は続いています。
5年に1回、3症例を学会の年次大会時に提出して審査を受け、合格した症例だけを学会で展示するシステムも存続しています。
3回目以降の更新は1症例をパスしたら良いのですが、なかなか準備が面倒なのです。
「専門医ができたから更新する人は減っただろうなあ。」と思って、10月下旬の横浜で開催された日本矯正歯科学会で症例を提出して症例審査を受けましたが、思ったより多くの方が提出していました。
私の審査結果は「要修正!!」
修正で要求されたことは計算間違いの修正が1点(これは完全に私のミス)と、X線写真の重ね合わせにS点、N点などの解剖学的なポイントの部分に「S」、「N」、「ANS」などのポイント名が記載されていないということ、第4頸椎の横突起の重なり部分の線が記載されていないということ。
計算間違いはミスですから修正は当然ですが、矯正歯科医が審査し同業者に症例を展示する上で当然わかっているポイント名の記載を要求されたこと、また矯正歯科の症例の力量を計るために必要ではない頸椎のトレースの修正を要求されたことに違和感を感じました。
審査員の目前でポイント名を追記し、第4頸椎に縦の線を1本書くだけで「合格」になったわけですが、過去の更新審査でも「X線写真に撮影時の年齢の記載が無い」ということで「再提出」になったことがありました
海外の専門医試験だと審査員は「治す力量を審査する試験だから、治療終了時の模型を見ると術者の力量はだいたいわかる」と言う方が多く、良い症例を提出すると「I love your case」などと言われます。
日本の矯正歯科医はまだpeer reviewに慣れていない方が多く、本質を見ることができない審査員が審査していると、制度が本質からずれていく可能性があるなあと感じました