東京都西東京市のひばりヶ丘にある「みむら矯正歯科」の院長 三村です。

 

厚生労働省が主導して、医科だけでなく歯科でも専門医制度の再構築が行われています。

今までは、各学会に任せていた専門医制度ですが、専門医が乱立したこと、専門医のレベルの差があることなどの背景に加え、医師でも専門医資格を有しない方が一定以上存在したため(歯科医師だと専門医資格を有する方が遙かに少数派です)、彼らをコントロールするために制度を再構築し、生涯研修をさせたいという背景があるのだろうと思います。

 

厚労省が主導した「専門医制度のあり方に対する検討会」は、

1)新たな専門医の仕組みを、国民の視点に立った上で、育成される側の キャリア形成支援の視点も重視して構築。 

2)専門医を「それぞれの診療領域における適切な教育を受けて 十分な知識・経験を持ち、患者から信頼される標準的な医療を提供できる医師」と定義。

(「神の手を持つ医師」や「スーパードクター」を意味するものではない。)
3)新たな専門医の仕組みは、 プロフェッショナルオートノミー(専門家による自律性)を基盤として設計。

の3点を基本方針として上げています。

 

専門医の力量の評価は、専門家でないとできないので、専門家同士の相互評価(ピア・レビューと表されます)で行うことは当然で、3)のプロフェッショナル・オートノミーなどと言われなくても、矯正歯科の分野は今までもこのやり方で専門医を排出しています。

1)の「育成される側のキャリア形成支援」というのは、医局制度を盤石にしたいという大学人の意図であろうとも思います。

1)3)は当たり前なので、思うところがあってもスルーするとして、問題は2)です。

 

専門医は「標準治療を提供できる」ということを目指してよいのでしょうか?プンプン

日本臨床矯正歯科医会が国民に世論調査をした際には、国民は専門医はスーパードクターをイメージしているという結果が得られています。

標準治療は、卒前教育で、知識として一般的に教育されていないのでしょうか?

 

矯正歯科の現場を見る限り、一般歯科医は標準治療を提供できず、一部の矯正歯科医も標準治療を提供できず・・というお寒い状況であることは間違いありませんガーン

しかし、だからこそ、矯正歯科の専門医はスーパードクターであって欲しいと思っていましたが、新制度は「国内の至るところで標準治療を提供する」ために、「1000名の専門医を作る」ことを目標として動き始めようとしています。

今まで、日本矯正歯科学会専門医(約300名)を取得しておらず、日本矯正歯科学会認定医は取得した方々(約3000名)の一部が、制度に加わったとして、制度がうまく機能するのでしょうか?

 

専門医には、一般歯科医や標榜医、認定医が治療をしても上手く治らなかった症例を仕上げる能力を持ち、真っ先にセカンドオピニオンを受け入れる力量を持って欲しいと考えています笑い泣き