東京都西東京市のひばりヶ丘にある「みむら矯正歯科」の院長 三村です。

 

3月3日にフジテレビ系で放送された「ザ・ノンフィクション」でタレントのAAさんが某美容外科で美容外科手術を受けた特集を見ました。

「矯正歯科治療で歯並びは治ったけど、口元にずっとコンプレックスがあった」ということで、上下顎同時移動とオトガイ形成術で即時移動しています。

 

矯正歯科でも顎変形症(上下の顎の骨の大きさや位置、バランスなどの異常で、不正咬合や顔の変形が生じた病態)の治療を口腔外科もしくは形成外科と協力して治療しています。

 

矯正歯科医の立場からすると、矯正歯科治療前の状態は知りませんが、「矯正歯科治療の治療目標がキチンと正しく立案され、それをAAさんと共有していたのか?ショボーン」という疑問を持ちました。

つまり、「矯正歯科治療の治療目標の設定と目標達成のための力系は正しかったのか?」ということです。


また、手術後には筋肉が顎を元の位置に戻そうとするので、上下の歯の間で矯正装置を使ってゴムの力などでそれを抑えたり、顎の位置が変わることで噛み合わせが狂うことを歯を動かして調整をしたりしていきます。

「AAさんの今の噛み合わせは大丈夫なんだろうか?」とも思います。

 

そして、手術の術式に関しても若干の疑問を持ちましたが、ここは形成外科や口腔外科の領域ですから、あえて記しません。

また、その美容外科では軟組織(皮膚や唇)を含めた3次元シミュレーションが出来ることを「売り」にしているようですが、硬組織(歯や骨)のシミュレーションは比較的容易ですが、軟組織は2次元でも硬組織移動に対する追従が様々で、必ずしもシミュレーション通りにならないことが多いとされています。

3次元でできることは患者さんにとってイメージしやすい程度の意味合いしかなかろうと思います。

さらに、術後の側貌は術前より改善はされていますが、私のイメージではもう少し改善の余地があったかも?とも思います。

 

あのTV番組の影響は大きいと思いますが、口元を気にしている患者さんが、矯正歯科治療を考えずに美容外科を受診するような風潮が強くならないと良いなあと感じました。