東京都西東京市のひばりヶ丘にある「みむら矯正歯科」の院長 三村です。

 

昨年12月の読売新聞に掲載された医療ルネッサンスの記事に、歯科医院で歯を削って噛み合わせを調整したら、口を開けにくいことだけではなく何をしても治らなかった全身の症状が解消したという驚愕の内容が掲載されていました。

https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20181225-OYTET50009/?catname=iryo-renaissance

 

「驚愕」というのは「すばらしい!」ということではなく、「なんだこりゃ?」という意味ですびっくりびっくり

開口障害などの顎関節症状のある方に対して、咬み合わせ治療と称して歯を削る「咬合調整」という処置を行うことは、30年以上前にはかなりの頻度で行われていた様に思いますが、病態の解明が進んできた現在では第一選択にしてはならないとされています。

http://kokuhoken.net/jstmj/general/faq.html

 

EBM(客観的なデータに基づく医療)の考え方が一般化した現在では、矯正歯科治療のように審美的な要求が絡むなどの特殊性がある分野以外は、医療においてはEBMが優先されることが一般的であり、そこから外れた治療をする場合には、その旨を患者さんに伝えて、インフォーメムドコンセントをとることが必要とされています。

 

EBMを用いて作成された日本顎関節学会のガイドラインでも「顎関節症患者において、咬合調整は有効か?」という設問(CQ)に対しては、【Grade D】として、「症状改善を目的とした咬合調整は行わないことを推奨する」と強く推奨しています。

つまり、顎関節症状を始めとする諸症状の改善を目指して歯を削ることをやめなさいと訴えています。

この結果は厚生労働省の委託事業である公益財団法人日本医療機能評価機構(Minds)にも収載されておりますので、いわば本邦の顎関節症の標準治療のはずですムキーッムキー

https://minds.jcqhc.or.jp/n/cq/D0000677

 

読売新聞が、一部の偏った情報だけを頼りに、他の情報を検索せず、全国紙の朝刊にこのような記事を掲載したことは、読者をミスリードする可能性があります。

今後、医療ルネッサンスは何らかの対応をすべきだと思います。