東京都西東京市のひばりヶ丘にある「みむら矯正歯科」の院長 三村です。
近年は永久歯の先天欠如が増えていると言われており、日本小児歯科学会の調査では10人に1人の割合で永久歯の先天欠如があるということです
ただ矯正歯科治療を必要とする不正咬合の7割の人は永久歯を抜かないとならないとされていますので、上下左右で各1本までの永久歯の先天欠如なら矯正歯科治療で空隙を閉じてしまう方法で対応可能ですが、上下左右のどこかに欠損が集中した場合(例えば右上は3本永久歯が足りないとか)には矯正歯科治療でその空隙を閉じることができても、ただ閉じるだけでは対咬する歯の噛み合う相手がなくなるため問題が生じます。
その場合にはどこかに空隙を残して、将来的に欠損補綴(2本の歯を削って3本分の人工歯を被せるブリッジ)やデンタルインプラントを植立して補綴を行うなどの手法をとることになります
ブリッジは健康な歯を削らないとなりませんし、インプラントは所詮人工物で、歯の感覚受容器がある歯根膜がありません
そう考えると全ての歯が揃っている場所から天然歯を欠損部に移植するという方法は非常に合理的です。
ただし、その場合には移植する歯(生体肝移植と同じようにドナーと言います)は先に神経の処置をしないとならない、また移植床(レシピエント)の幅や高さなどの条件も必要です。
移植床の条件が揃わない場合には、事前に骨を作る処置をしないとなりません。
そこまでやっても移植した歯が生着しないこともあります。
そして移植した歯に過剰な咬合力がかからないように移植直後には歯冠は短くしておき、治療が終了してから歯冠の形を直す必要があります。
また移植した歯の寿命は天然歯より短く、ゆっくり歯根が吸収することがあるなどと言われています。
しかし、治療の選択肢を著しく広げることは間違いありません。
「みむら矯正歯科」の院長 三村は、この方法をかなり前から矯正歯科治療に取り入れており、治療した症例を米国矯正歯科学会雑誌(American Journal of Orthodontics and Orthopedics)に投稿し、当時の編集長のKokich先生に絶賛されました
全ての歯のない患者さんにこの治療法が適応できればいいのですが、患者さんの理解が得られ、種々のステップでの注意を受け入れて守っていただける信頼関係が構築できる方しか用いることはできない方法だと思っています。
患者さん側の負担も大きいのですが、術者も相当の力量が要求され、さらには最新の注意を払わないとなりません。
ただし、その二つがシンクロしたときにはミラクルな結果が生じます