「安倍1強」はいい加減に何とかしてほしいと思っている私としては、政界のイチローの最後のご奉公に大いに期待している。この際、小沢が人間的に好きか嫌いかという次元の話は置いといて、政策での野党の一致を野党は目指してほしい。
次の衆院選で負ければ政権交代はあきらめる
小沢一郎・自由党共同代表がアツい。過去2度、自民党を下野させた「剛腕」が、今度は安倍晋三政権打倒を掲げて永田町を駆け回り、3度目の夢に挑戦中だ。野党共闘と政権交代の道筋をどう描くのか、小池百合子・東京都知事との連携はあるのか。松田喬和・毎日新聞特別顧問が直撃した。【構成・吉井理記、写真・根岸基弘】
「格差是正」の大義の旗立てる/野党がまとまれば100%勝つ
--小沢さんは1994年成立の選挙制度改革を主導しました。政権交代が可能な選挙の仕組みにするのが目的でしたが、今や永田町は「安倍1強」と評される有り様です。この状況を予想していましたか。
小沢氏 もちろん。今の状況は、議会制民主主義の中で、野党に政権を担うだけの資質が育ちきっていない、ということです。日本人はせっかちで、すぐ結果を求める傾向があるが、あの英国だって、民主主義が今のように育つまで長い時間がかかっている。日本は今、少しもたついているが、日本人に民主主義をたたき込むにはもう一度政権交代をしなきゃ。「二度あることは三度ある」のです。
--野党が国民の受け皿になっていないことが問題です。
小沢氏 そこなんです。「安倍1強」と言うが、よく考えてほしい。民主党だって、115議席から2009年の政権交代選挙で308議席に増えて「民主1強」になった。つまり「1強」といっても大したことはないんです。だからまず国民が「政権を任せてみてもいい」と思える体制を野党が作ること。そこを国民に見せなきゃ。そうすれば間違いなく政権交代は起きます。
--世界各国や日本で格差拡大が問題になっています。格差をなくす、という意味では、小沢さんの師匠、田中角栄元首相が再び脚光を浴びています。田中さんは地域格差の是正に力を入れていました。
小沢氏 小泉純一郎、安倍両政権の源流をたどれば競争原理主義社会です。しかし、自由競争を放任していたら弱肉強食がはびこる200年前の初期資本主義に逆戻りです。しかも日本は急速にそうなりつつある。そこをただすことこそ政治の役割なんです。野党がその大義の旗を立てて頑張らなきゃいけない。
--ずばり聞きますが、野党の共闘が国民にアピールを与えることができるのは、野党合併による新党ですか?
小沢氏 僕はそれがベストだと思う。次善の策として、次期衆院選で、イタリアの中道左派勢力が結集した市民運動「オリーブの木」を模して、野党の比例候補は統一名簿を作って戦うなど緩い連合を組む手もある。だが、やはり最大野党の民進党が旗を振って、我が自由党と社民党の3党で新党を作るのが一番いい。共産党とは選挙協力を密にする。現時点で共産党は新党に入るつもりはないし、こちらも加わってもらうつもりはないですから。
--新党に共産党は入らないといっても、共産党と手を組むこと自体に拒否感がある人もいるのでは?
小沢氏 それは違う。メリットしかない。共産党は600万の票があるが、中には保守の無党派層も含まれているんです。僕らの支持者にも「自由党がいなければ共産党に入れる」という人もいる。昔は共産党と聞くと拒否反応を示すのが普通だったけれど、今の若い人は違う。一緒に新党を作るならともかく、選挙協力なら何の問題もない。(民進党最大の支援組織)連合が「共産党と一緒に選挙は戦えない」と反発する声を聞くが、何も一緒に選挙支援をすることはない。別々に支援すればいいんです。候補者も、共産党の支援が嫌なら断ればいい。ただ、今の野党で独力でそれだけの票を取れる人はそういないと思う。
--それでは新党で内紛が起きませんか。
小沢氏 それはない。民主党政権時の失敗は繰り返させない。まず野党が一つの旗の下で戦うなら、何を共通の政策の柱にするか。原発でも消費税でも安全保障法制でもいい。三つ、四つは必ず合意できます。原発で言えば、民進党は「2030年代に原発ゼロにする」と言っている。みんなでそれに合意すれば、後はプロセスをどうするかという問題だけです。安保法も憲法の否定で、歴史の針を戻すものだ。絶対やるべきじゃない。でも選挙を制しなければ政策は実現できない。選挙は勝たなければいけないんです。
--次の衆院選はいつだとにらんでいます?
小沢氏 4月という説もあるが、常識的には秋以降でしょう。とすれば野党の結集は今国会中、夏前にはある程度、ね。その前に、野党にとっては夏の東京都議選が試金石になります。今のままでは野党は共産党以外全滅ですよ。その前に(野党共闘の)けりをつけなければ。
--都議選では、絶大な人気を集めると思われる小池都知事の動向が鍵になります。今後の国政を見据え、野党と小池さんとの連携は可能ですか。
小沢氏 でも小池さん、自民党の籍を抜いてないでしょ。
--自民党との関係を清算していないことが弱点になると?
小沢氏 小池さんの人気も、かつて日本維新の会が台頭した理由も、野党が反自民の立場を発信できなかった裏返しなんですよ。維新は反自民の有権者の人気を集めたが、どんどん自民党寄りになって有権者が離れた。小池さんも「自民党と戦う」というイメージで人気を得ているが、自民党に足を置く今のスタンスを続ければ必ず維新の二の舞いになる。そうではなく、体制批判のリーダーたらんという覚悟があれば、彼女はいい線いきますよ。
--つまり自民党への反発は有権者に根強い。
小沢氏 そう。だから次の選挙で勝つ。野党がまとまれば100%勝ちます。政権を目指さない政治家は即時退場すべし。次、勝てなきゃ野党は半永久的に政権は取れない。そうなれば僕もあきらめるしかない。
--政権獲得には無党派層をつかむことが“決め手”ですが、勝算をお持ちですか?
小沢氏 野党が一体になって国民に問えば、選挙に関心が高まり、投票率が上がります。しかも増えた票は自民党に行かず、多くは野党に来る。
--野党共闘による新党の魅力をどうつけますか。
小沢氏 「似た者同士がまた一緒になっただけ」と国民に受け止められるだけでは、話題にもならない。しかし、仮に今、自由党と社民党が一緒になれば、数は10人しか増えないが、支持率は増えるはず。それは政権交代の目的を果たすために大同団結したと国民が見るからです。
■人物略歴
おざわ・いちろう
1942年生まれ。69年以来連続当選16回。自治相、自民党幹事長などを歴任。93年に離党し、細川護熙連立政権や2009年の民主党政権の誕生に動いた。新進、旧自由、民主、生活の各党で代表も務めた。
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