これは、担当編集者による「東京が壊滅する日」の著者広瀬隆さんのインタビュー【前篇】である。
編集 熊本県の阿蘇山が、9月14日(月)午前9時43分に噴火。噴煙は2000メートルまで達し、火口からはるかに離れた60キロ地点でも、降灰が確認されました。
活火山カレーの説明によれば、「ドーナツ状に盛ったライスは阿蘇の外輪山、カツは阿蘇五岳を表しており、中央部分のくぼみ(カルデラ)から自家製のルゥ(マグマ)が溢れ出す姿は、阿蘇山をイメージした」とありますが、あの「活火山」がついに大規模の噴火を起こしました。
広瀬 阿蘇山では、1979年9月の噴火で3人が死亡しました。今回は幸いにも被害者は出なかったといっても、相当大きな噴火であることに間違いありません。 気象庁のサイトでもわかるとおり、歴史的に阿蘇山は非常に多くの噴火を繰り返してきました。今回の噴火で、噴火警戒レベル2の「火口周辺規制」からレベル3の「入山規制」へ引き上げられ、10月3日現在もレベル3のままです。
ただ私は、阿蘇山よりも、川内原発がある鹿児島県の霧島や桜島のほうが心配ですし、活火山は1ヵ所の問題ではないという視点が必要です。 『東京が壊滅する日――フクシマと日本の運命』の「あとがき」や、ダイヤモンド書籍オンラインの連載にも書きましたが、2009年に始まった桜島の大噴火だけでなく、2011年1月26日の鹿児島・霧島山の新燃岳(しんもえだけ)で大噴火が起こりました。
その直後の2011年3月11日に東日本大震災が起こったのです。
震災後の日本列島の火山活動は活発で、2013年11月に小笠原諸島の西之島新島で大噴火がスタートし、今も止まる気配がありません。
翌2014年9月27日には、長野・岐阜県境の御嶽山(おんたけさん)が大噴火して、戦後最大の火山災害になり、同年11月25日には阿蘇山が噴火して噴煙が1500メートルに達しました。箱根も、蔵王も動いています。
今回の阿蘇山の噴火は、この一連の流れにあるのは間違いないわけで、九州だけがアブナイと言っているのではありません。日本列島全体が火山の大活動期の渦中にある、と断言できます。
編集 日本列島の火山活動が、完全な「大活動期」に入ったということですね。
広瀬 そうです。しかし、その火山を噴火させる地底の動きは、地球規模の「大地震」と一体になっています。日本列島全域がアブナイのですが、もっとコワイことに、日本だけの問題ではないのです。
プレートは一つが動くと、玉突きで次々動きだします。
日本では、太平洋プレートが動いて東日本大震災を起こしましたが、次に首都圏を動かす関東大震災がくるか、東海大地震~南海大地震が起こるかわかりません。しかし、「次の大地震は近々必ずくる」と言っていいでしょう。
「地震」と「台風」は連動している!?
編集 断言されますか!?
広瀬 はい。最近頻発している台風と大地震が連動しているのです。
編集 台風と大地震が連動!?
広瀬 大地震を起こすプレートの動きを知るには、海底から噴出するマグマを測定しなければなりませんが、陸上と違って、海底ですから困難です。
では、どうやってそれを予見できるかというと、日本に台風をもたらすのはフィリピン海ですから、そこに注目してみましょう。
この南方の海底で、地震を起こすプレートが動いてマグマが噴出すると、当然、海水温が上がって、台風が起こりやすくなります。
つまり、「地震が起こる前兆として、台風が増加する」という可能性が高いわけです。
編集 「海水温が上がって台風が増えると、地震が起きやすくなる」ということですか?
広瀬 はい。1950年以降の「日本の台風上陸回数」を示したグラフですが、今から11年前の2004年に突然、トテツモナイ数の「史上最多の台風上陸数」を記録しました。
その時、フィリピン海の海水温は、異常に高くなっていました。そこで私は、これは、太平洋プレートの激しい動きによって、海底マグマが噴出し、フィリピン海の海水温が異常に上昇したことが原因だと推測しました。その年に何が起こりましたか?
台風シーズンの直後、2004年10月23日に、内陸直下型のマグニチュード6.8の新潟県中越地震が発生して、営業運転中の新幹線が初めて脱線し、高架の橋脚も崩壊するという激震でした。
新潟県川口町では、2515ガルと観測史上最大の揺れを記録したのです。
そこで、フィリピン海の海水温の異常が、日本を動かしたとすれば、さらに玉突きによって南のオーストラリア・プレートを動かすのではないかと、私は予感したのです。
そして直感した通り年末に、2004年12月26日、インドネシアのスマトラ島で、マグニチュード9.3の大地震が起こり、巨大津波が発生して、死者・行方不明者20万人以上という大惨事をもらしたのです。
編集 そうだったのですか!
広瀬 この新潟県中越地震が起こった2004年には、新潟県や福島県~福井県にかけて7.13水害と呼ばれる豪雨による大洪水もありました。
このように、2004年6~9月に、フィリピン海で発生して日本に上陸した台風が過去最多を記録し、2004年12月26日のスマトラ島での大地震・大津波につながったと考えてみましょう。
もう一枚の図の「大地震と台風」を見てください。
誰も覚えていないでしょうが、2008年5月2~3日に、サイクロン(大型台風)がミャンマーを直撃して、10万人以上の死者が出ました。
遠いミャンマーなので日本人には関係ないと思っているでしょうが、10万人の死者は東日本大震災よりはるかに大きな災害ですよ。このサイクロンを起こした源は、今度はインド洋の海底マグマの噴出によるものです。
そして、そのわずか10日後の2008年5月12日に、マグニチュード8.0の大地震が中国四川省を直撃して、死者・行方不明者が数万人規模で出ました。
今年4月にも、ネパール・チベット・中国地震が起こって、エヴェレストで雪崩が発生し、多数の死者が出ましたね。つまり2015年現在は、世界規模でプレートが動いている。 日本で東日本大震災が起こった2011年には、タイで大洪水が起こりましたね。インドシナ半島に接近する前に勢力が弱まるはずの台風がいくつも上陸して、10月に猛威を振るったのです。
編集 今年は、2015年9月10日に起きた東日本大水害(北関東・東北豪雨)で、茨城県常総市の鬼怒川が決壊しました。50年に一度という大水害です。猛烈な台風から爆弾低気圧になって、鬼怒川に寄り添う形で関東・東北を縦断しためずらしいケースでしたが、この原因は何ですか?
広瀬 そう、現在がどうなのかを、海水温との関係で見てみましょう。
海水温の高温域の位置が、今年は日本の横腹あたりにあったので、例年のように沖縄から台風が来るのではなく、異様な形で、関東地方と東北地方にいきなり大雨洪水の大災害が襲いかかったことがわかります。
このような台風時の海水温を、テレビと新聞が解説する時には、必ず気象庁の予報官や、専門家と自称する大学教授などが出てきて、“温暖化の影響”も考えられる、と言いますね。テレビのキャスターもそれを受け売りして、“温暖化”と騒ぎますが、冗談ではありません。
今の図のように、日本の北部の海域は、この海水温の図の通り、相変らず冷たいのですよ。地球の温暖化の影響であるなら、北海も高温になるはずですから、そういう意見はまったく科学的な根拠のないデマです。
気象庁も、テレビと新聞も、国際的な詐欺師である「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)の手先にすぎません。それをもって、CO2を出さない原発が必要だという意見を、あなたたちの頭にすりこんでいるのです。
では原因は何かといえば、海底マグマの噴出による「大地震の予兆」だとしか考えられません。「50年に一度」という言葉に、あなたも惑わされてはいけません。
気象庁の若い予報官たちが、一昨年から「経験したことのない大雨」という言葉を使いはじめましたが、あれはみんな大噓です。たまたま「自分に体験のない」災害に遭遇したというだけで、われわれの世代の人間から見れば、一昨年よりはるかに大規模な大雨や洪水の記録が、戦後に何度もあります。1000年単位で見れば、日本に過去何度もありました。
彼らは、IPCCの「温暖化説」を煽動したいので、大げさに言っているだけです。地震や火山噴火や、台風・サイクロン・ハリケーンなどは、常に1000年単位で考え、比較しなければならない現象です。
編集 そうでしたか。それとは別に、雑誌「FRIDAY 10月2日・9日号」によると、鬼怒川沿いの私有地に民間太陽光発電事業者のソーラーパネル群が建設された際、自然堤防の役目をはたしていた丘陵部が大きく削られ、「今回の災害は100%人災」だと、越水の危険が豪雨以前から叫ばれていたようですね。
広瀬 自治体サイドの対応はひどかったようですね。私は現場を歩いていないので断言はできませんが、このようなメガソーラーのパネル設置のために砂丘を掘削したことは、明らかに自然破壊であり、洪水が広がったのは人災でしょうね。
編集 広瀬さん、今年の異常気象は例年と比べて、明らかにおかしくありませんか? 2004年、2008年のような豪雨→大地震、という経路をたどらないことを祈ります。
広瀬 その危険性は日増しに高まっている、というのが、火山の鳴動が教えることです。学者の意見より、私の直感のほうが、ほとんど正しかった、というのがこれまでの大災害を解析した結論です。
http://diamond.jp/articles/-/79224