トテツモナイ9300億“新品”訴訟!それでもなお、再稼働させますか? | 21世紀のケインジアンのブログ

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これは広瀬隆――八重洲ブックセンター本店での講演(2)である。

三菱重工の工場に
抜き打ち立ち入り検査!

 ほんの3年前の2012131日、アメリカのカリフォルニア州のサンオノフレ原発で、蒸気発生器の細管が破損したため、原子炉が緊急停止し、放射性物質が大気中に漏れた。

サンオノフレ原発では、三菱重工が納入したばかりの最新の蒸気発生器細管が穴だらけで破していたことが明らかになったのだ。

 どれほど巨大な装置である。

 元NHKアナウンサーの堀潤さんが、この事故がアメリカで大問題になっていた2012年に、ちょうどカリフォルニア大学(UCLA)に留学していて、取材をすることができた。

堀さんによると、アメリカのNRC(原子力規制委員会)が、三菱重工の兵庫県の工場に抜き打ちの立ち入り検査をした、そして2基の原発が「廃炉になった」という大事件は、そういうことだったのだ。

 しかも、この蒸気発生器は20092010年に設置されたばかりで、稼働して1年たたずに事故を起こした。

つまり新品が事故を起こしたのだ!

 加えて、日本の低レベルな原子力規制委員会や電力会社と違って、アメリカのNRCは、メカニックな問題に関して、きわめて高度な技術的能力を持っている。その頭脳集団が「三菱重工は信用ならない業者だ」と判定を下して、廃炉になったのだから、決定的である。

 アメリカの電力会社が「廃炉」を決断したのは、三菱の欠陥製品を使って運転すれば、大事故を起こす、それがこわかったからである。

 莫大な損失となる「廃炉」より、大事故を起こした時の損失のほうが、桁違いに大きい。

トテツモナイ9300億の訴訟

 だから、三菱重工に対して、9300億円、およそ1兆円というトテツモナイ巨額の損害賠償7月に請求したのである。東芝が不正会計によって隠していた金額どころではない。

川内原発のメーカーは、サンオノフレ原発と同じ「三菱重工」なのである。再稼働した川内原発1号機はすでに新しい蒸気発生器に交換しているが、アメリカの事故が証明した通り、新品に交換してから大事故を起こしたのだ。

 つまり、鹿児島県では、もうまもなく大事故を起こす可能性がきわめて高い、という結論になる。

 さらにひどいことに、10月にも再稼働しようとしている川内原発2号機は、新品の蒸気発生器を持っているが、交換しようとしていたところにフクシマ原発事故が起こったため、交換できないまま倉庫にしまった状態である。30年前に製造されて使ってきた、老朽化した巨大装置を、そのまま使う予定になっている。こちらは、すでに細管の破損を、山のように抱えているはずだ。

 交換しなければならないにもかかわらず、交換しないで運転しようとしている。

 分りますか。

 絶対にあってはならないことが、目の前で進行しているのだ。

 八重洲ブックセンター本店講演会での演題が、「川内原発は、ほどなく大事故を起こす!!とは、そういう意味なのである。

 川内原発を再稼働した九州電力と、サンオノフレ原発を廃炉にしたアメリカの電力会社サザン・カリフォルニア・エジソン社の、危険性を防止する思想の違いが、これほど明確に出ている。

 日本の電力会社は、大事故が起こる可能性を承知で、原発を運転している。もはや、狂気としか言いようがない。問題は、このような大事件が、日本のテレビと新聞で、まったく問題になっていないことだ

 そうした中で起こったのが、再稼働した直後の821日に、川内原発1号機の復水器の「細管の破損」トラブルだったのである。

 復水器も、同じように細いパイプを使って、蒸気の熱を海水に伝えて、海に熱を捨てる装置である。こちらは、チタン製の細管が、1台に26000本あり、3台合計で78000本以上ある。稼働以来31年間、まったく交換していない老朽化した装置だった。

 パイプの破損部から、海水が侵入するトラブルが起こったのである。したがって、この塩水が、蒸気発生器に送られたのである。九州電力は、途中に「復水脱塩装置」があるから、塩分は取り除かれて大丈夫だと言っている。だが、脱塩、つまり塩分を取り除くのは、イオン交換樹脂である。

 これほど大量に流れる高速度の水から、イオン交換樹脂で簡単にすべての塩分を除去できるとは、にわかに信じられない話だ。蒸気発生器の細管の外側を流れる水に、塩分が流れこんだ可能性は、かなり大きい。つまり、ますます蒸気発生器の腐食が進みやすい状況にある。

「加圧水型」原発の重大欠陥とは?

 さて、再稼働スケジュールのラインナップに組み込まれた「川内原発・伊方原発・高浜原発・玄海原発」という加圧水型原発の重大な欠陥が、もうひとつある。

 福島第一原発の水素爆発はどのように起こったか、あの恐怖の大事件をふりかえってみよう。

 シビアアクシデント(重大事故)が発生し、原子炉の内部で水が失われてゆくと、灼熱のウランの燃料棒が水から顔を出す。すると、ウラン燃料を包んでいるジルコニウムのパイプが、勢いよく酸化し始める。その時、「酸素と水素」の結合物である水から酸素を奪うので、そこに大量の水素が発生する。

しかし、これだけでは、水素は爆発しない。左の図で、真ん中に茶色く見えるのが、その現象が起こった原子炉である。

 この原子炉(圧力容器)の配管のどこかが破損して、この水素と、ヨウ素やセシウム、ストロンチウムなど大量の放射性物質が外に流れ出していったのである。

 流れ出した場所は、放射性物質をとじこめるための格納容器であり、ここには窒素ガスを入れてあるので、ここでも水素は爆発しなかった。

 ところが大量のガスが格納容器にたまってくると、格納容器が耐えられる圧力を超えて、こわれてしまう。それは、最悪の事態である。

 福島第一原発では、格納容器全体が破壊される寸前までいったが、破壊される前に、格納容器の上にあるフタが高い圧力を受けて下から押し上げられ、そこからオペレーションフロアに、ガスが流れ出していったのだ。

 オペレーションフロアとは、定期検査の時に作業者が働く場所である。したがって、そこには空気、つまり酸素があったのだ。そこで、水素と酸素が反応して、大地震の翌日にドカーンと大爆発を起こしたのである。

さて、福島第一原発のような沸騰水型では、格納容器の中に、空気の代りに窒素が充填されていたので、オペレーションフロアで爆発したが、川内原発・伊方原発・高浜原発・玄海原発の加圧水型では、格納容器の中が空気なのである!

 したがって、炉心溶融が起こった場合、原子炉圧力容器で水素が発生すると、破損部から格納容器に水素が噴出することになり、そこでたちまち水素爆発が起こってしまう。

 こうなれば、そこにある蒸気発生器も破壊されて、原子炉にあった全部の放射能が外に出るのだから、フクシマ原発事故どころではない

 ここまで述べてきたように、起こりやすい現象を追ってゆくと、以下のようになる。

1火山の大噴火が起こって電源が喪失し、あるいは大地震が引き金となって、あるいは欠陥製品の蒸気発生器で細管の連鎖的な破損が起こり、重大事故(シビアアクシデント)に突入する。

2)加圧水型では、メルトダウンの速度は、沸騰水型よりはるかに早く、わずか22分のスピードで進行する。

3)そして発生した水素と、すべての放射性物質は、格納容器に噴出して、そこで大爆発を起こす。

4)もはや原子炉の事故をおさえるために打てる手は、何もない。すべての放射性物質が、一帯の空に放出される。

5)周辺の住民が避難しようとしても、道路の大渋滞が起こって、まったく逃げる術がない。地元のバスの運転手たちも、一斉に逃げ出すので、集団での避難は不可能である。特に病院や福祉施設では、多くの人が放射能の雲の中に取り残される。

6大気中に放出された膨大な放射能は、偏西風に乗って、日本全土を壊滅させる。そして海に流れ出た放射能は、対馬海流と黒潮に乗って、日本の海を壊滅させる。

 以上は、どれも、きわめて起こりやすいこと、ばかりなのである。
 講演録最終回となる次回は、2013222日「毎日新聞」だけが伝えた重大事実を報告する。

http://diamond.jp/articles/-/78702