「金融政策はインフレには有効でも、デフレには効果がない」という歴史の教訓に学べ | 21世紀のケインジアンのブログ

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日本の1990年代の不況は、フリードマン的な金融政策に注目を集めさせた、「日銀が貨幣数量を増加させれば不況は解消する」という説である。

 一方、我が国の官庁エコノミストの第一人者で私も尊敬する赤羽隆夫氏(元経済企画庁次官)は「フリードマン説は今では誰も信じていない」と書いていた。

 しかし、このフリードマン的主張を繰り返す人々・グループがいまだにたくさんいる。その代表格が岩田規久男氏であろうか。彼らは不況から脱出できない責任を日銀の政策に負わせようという政府を後押しし、赤羽氏の実証研究にもイギリス経済学者の共通認識(金融政策の非対照性-金融政策はインフレには有効でも、デフレには効果がない)にも注意を払うことはなかった。

 自らの意見に対する批判を無視し、政治に食い込むという点でジャンルは違うが、どこか原子力村と似ていなくもない。


 それでは、なぜ、量的金融緩和政策はなぜ効果がないのか。そのことを実証的に明らかにしている素晴らしい本が出た。


 日本の失敗を後追いするアメリカ  服部茂幸著

 http://bookweb.kinokuniya.co.jp/htm/4757122748.html

 中央銀行が、銀行が保有している証券を購入して、市中の貨幣量の増加を図っても、それは銀行の保有する中央銀行の当座預金勘定を積み上げるだけで、市中には出ない。



 不況下では銀行の融資先が見つからないのだ。ケインズの金融政策もインフレには金融引き締めが有効でも、デフレには効果がないことを認めている。そして、このことは1990~2000年代の日本で実証されている。

 不況下で貨幣供給量を増やしても、一般の物価は上がらず、証券や商品などの資産価格をバブル的に上げるだけである。そのことは、2000年代の日本でも見られたし、ここ10年間のアメリカでも起こった。この点も本書は見事に批判している。

 今の日本でも日銀への国債引受を始め、デフレ脱却のためさらに一層の量的金融緩和を求める声が多い。そのような人にはこの本をよく読んで頭を冷やしてもらいたいものである。おそらく、あの世のケインズは「まだ、そんなこともわからないのか」と呆れていると思うのである。ちなみに、今、世間で猛烈な批判を浴びている日銀の白川総裁は金融政策を正しく理解していると思う。