バブル退治に失敗すれば世界は奈落の底へ
中国が利上げを実施した。
金融を引き締めれば、景気はブレーキが掛かる。中国市場で儲けてきた海外企業の業績も下振れだ。世界経済は冷え込みが予想される事態となり、日欧米の株式市場は“中国利上げショック”でドスンと落ちた。
しかし、今回の利上げは避けて通れない道である。中国当局が最も警戒しているのは、「バブルの発生と崩壊」だろう。過熱気味の経済を慎重に制御できなければ、中国経済は暴走する。そのとき、どんなハプニングが発生するか、想像しただけで恐ろしいことである。
すでに中国では食料品を中心に物価がジリジリと上昇している。不動産価格も値上がりし、株価も高騰。政府は、投機的な売買の抑制に懸命になっている。それでも、巨額の貿易黒字と海外からの投資で国内はお金がジャブジャブの状態だ。その上、元売りドル買いの市場介入も、人民元をだぶつかせる要因になっている。一方で、人民元の急激な値上がりは許されないのだから、介入はやめられない。コントロールは難しい状況だが、一つサジ加減を誤れば、国がもたなくなる危険性も出てくる。
中国の国内には、今も民衆の不満がマグマのようにたまっている。格差是正は進まず、労働者のストライキや暴動は日常茶飯事だ。そこにバブルが猛威を振るえば、国民生活はグチャグチャになる。政府が、その怒りの矛先をかわそうとすれば、マグマは外に向かって噴き出す。日本はもちろん、ほかのアジア諸国の安全保障にとっても一大事。遅れてきた帝国主義国家が新たな大戦の引き金となる恐れさえ否定できなくなる。
とにかく、皆さんご存じの通り、中国は傍若無人な国である。共産党の一党独裁体制を守るためには、何でもやる。民主活動家の劉暁波氏がノーベル平和賞を受賞すれば、徹底した情報統制で、その事実を隠す。暴力的な反日デモも、政府批判に向かわないなら、「理解できる」と共感を示す。気にくわない相手には、レアアースの禁輸で対抗だ。世界の常識が通用しない国なのだ。
ところが今の国際社会は、その厄介な共産党の政治力、政策力に頼らざるを得ないのだから悩ましい。中国という国家が万が一にも、ボロボロになる衝撃は、リーマン・ショックの比ではない。しっかりキッチリやってもらわないと、世界もろとも奈落の底に真っ逆さまになってしまう。