不良債権処理が問題になっていた頃、マスコミは、よく、金融機関への「公的資金」注入という報道をしていました。海外では、はっきりと「税金投入」と報じられているのに、日本では、あたかもどこかに「公的資金」というお金があるがごとく報道されていました。もし、マスコミが連日、金融機関への「税金投入」と報道していたら、国民はもっと怒り、問題の真実を求める声が大きくなっていたことでしょう。しかし、「公的資金」投入と報道すれば、自分達の税金を投入するのではなく、どこかにある政府のお金を投入するのだろうと、多くの国民は、どこか他人事に思ってしまいます。
聞くところによると、当初、マスコミは「税金投入」と報道しようと考えていたようですが、それでは、自分達の納めた税金が金融機関のために使われるということが、余りにもはっきりしてしまうので、国民の反発が大きく大変なことになると思った”頭のいい官僚達”(こういうことでは、感心するくらい知恵があります)が「公的資金」という言葉を考え、マスコミにも、その言葉を使って国民を必要以上に刺激しないよう働きかけがあったようです。
要は、国民に本当のことを分からなくさせるよう、故意に「分かりにくい」言葉を使って目くらましを行ったようなものです。
最近のマスコミの報道では、やたらと「出口戦略」という言葉が使われていますが、私は、国民のどれだけの方が、その意味を理解されているのかと、よく思います。
「出口戦略」を簡単に説明すれば、これまで、リーマンショック後の世界的な経済・金融危機に対して巨額の財政支出を行い、金融面では、日銀が超低金利にすると共に、金融市場にジャブジャブとも言える資金供給を行って来ましたが、それはカンフル注射であっていつまでも続けられるものではないので、経済の回復具合を見ながら、財政支出を減らして行き、また、金融面では、超低金利の引き上げ、ジャブジャブとも言える金融市場へ供給している資金を少しずつ日銀が吸収して減らしていくことです。(一言で言えば、財政を抑制方向へ、金融を引き締め方向へということです)
これは、経済の回復具合を慎重に見極めながら、行わないと、また、経済を悪化させてしまう難しいことですので、政府や日銀は、そのために、具体的に、どのようなことを行っているのかは、あまり国民に知られたくないという心理があると思います。
要は、マスコミが「公的資金」や「出口戦略」などという、分かりにくい言葉を使っているときには、国民は、政府や官僚や日銀が本当は何をしているのか注意が必要だということだと思います。