中溝ひろみの
コンサートに行ってきた。
彼女の歌を
ある日、野外の現場で働いていた
宮大工がラジオから流れてくる
中溝ひろみの歌声を聴いて
背中に電流が走り
涙が溢れてきたという。
その彼が、
誰かれ構わず聴かせたくて
なにふりかまわず
福山でコンサートを開いた。
もちろん、採算など合うわけはない。
しかし、コンサート終了後の
その彼の顔は幸せに満ち足りた顔つきに誰もが異論を唱えることなく見える。
まるで信じ切った仏に
会ったかのような幸せな顔だ。
彼には
持ち出しの限度の覚悟だけが
あったのかもしれない。
アメリカンポップスから
JAZZまでのびのびと歌う
実力派の歌姫だ。
とても心が洗わられるようで
ひたすら歌姫の世界に溺れて行った。
しかし、どうやら
みんなに
どうだ、とばかり
聴かせたかった男の夢の
1ピースにお付き合いしたのかもしれない。
それでも
みんなは手を叩いて喜び
身体中の細胞を人間がつくりだす
「歌」というメッセージに酔いしれた。
幸せなのはぼくらでは
なかったか。
いやいや、
その男こそが
耳かきでつつかれた
耳の穴そのものではないか。
そっちがいいに
きまってる。
