人間の果てしない能力に
ただただ呆れるほどに感心することがある。
画家の吉村芳生氏。
この方は、全てを「鉛筆」で描いていく圧巻の細密描写で見る人を絶句させてしまう。
これがとかった鉛筆で描いたものだというのだから驚くしかない。
誰も見たことのないものを描きたい。
百年後に見てもらえるものを描きたい。
それが吉村さんの想いであった。
彼はある年に、一年間毎日
新聞の気になる記事の上に
自らの似顔絵を鉛筆で描いた。
毎日だ。
それのみならず、
9点ほどは、
新聞そのものを鉛筆で描き写し、
その上にご自分の似顔絵を描いたというのだ。
この新聞記事もすべて鉛筆で
描いたというのだ。そんなことがあろうか。絶句するばかりではないか。
私は実は、
今日はじめて吉村芳生さんのことを知った。
それは皮肉にも
彼の追悼記事であった。
2313年12月6日に
63歳のお歳で逝かれたという。
山口県在住で遅咲きの天才画家の作品展がこれからも各地で開かれるそうだ。
新聞は描くものではなく、
読むものだとばかり思っていた凡人には想いもよらぬ人間の業(わざ)だ。

