RURIKO

 戦後の日本女優ではまれに見る「女優美」を体現していた代表的な存在が、浅丘ルリ子である。  

本の巻末に取材を基に構成したフィクションであると断りを小さく入れてあるが、ほぼフィクションであることが読めばすぐに分かる。  

そして、なんと浅丘ルリ子という稀代の美人女優と大物俳優たちが「日活」という戦後空前の映画ブームの中で激しく消耗され、また、彼らの中での恋愛と言う大きな波がその人たちの一生を左右して行ったことか。  

浅丘ルリ子と石原裕次郎。  

浅丘ルリ子と小林旭。  

そして、小林旭と美空ひばり。  

彼らはスクリーンでの純愛を、また私生活でも繰り広げていたのだ。  

小林旭と結婚直前まで考え抜いた浅丘ルリ子だが、旭の性格に最後の最後はついていけなかった。いや、本当にルリ子は旭のことを愛していたのだろうかと自問自答する。  

そこでいつも脳裏をよぎるのは、幾度となく共演した石原裕次郎のことだ。つねに裕次郎と旭を比較する自分がいる。旭はそれを見抜いていたのだ。  

美空ひばりも小林旭との結婚直前で、それをためらう時があった。  

その時に相談を持ちかけたのが、旭の「元カノ」である浅丘ルリ子だったのだ。大丈夫よ、と慰めながら旭との過去を頭の中でぐるぐると反芻してみる。  

旭とひばりの最後には、山口組三代目田岡組長のお出ましだ。  

「ひばりはファンのものだ。だからファンに返してやってくれ」  

別居生活を続けていたけれど、有無を言わさぬ幕引きであった。  

ひばりは、それ以来自宅で酒をたしなむようになってはルリ子に夜電話をする。 

ひばりにとって、ルリ子は寂しさと愚痴を聞いてもらう最高の話し相手であった。 

ひばりの酒量はどんどんと増えていき、肝臓を病んでやがて死んでいく。まさに、石原裕次郎と同じである。  浅丘ルリ子の恋愛遍歴も赤裸々に書いてある。  

驚くような恋の物語。驚くような大女優の心模様に引きずりこまれてしまった。  

あっと言う間に読んでしまう、興味のある方には特におすすめの一冊だ。  

(ぼくは小さい時にとてもとても厳しくて近寄るのがおっかないおじいさんが、映画に連れて行ってやろうと、後にも先にも唯一いっしょに行った映画が「栄光の5000キロ」という映画だった。あまりの迫力におじいさんの横に座っているという緊張感も忘れてのめりこんだ記憶がある。ぼくにとっての奇跡的なおじいさんの甘い思い出なのだ)  

石原プロ制作の映画。 共演は心から好きだと気づいてしまった石原裕次郎。

その時の監督が、実生活のルリ子の恋人と言う複雑な環境の中で過酷なロケを行った。

1969年公開。

RURIKO










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