ぼくには一生縁のない、本当に絶対に縁の有り得ない一冊だったはずだ。
先日、勉強会で先生が「たかの友梨さんの愛読書が矢沢永吉の『成りあがり』なんだそうです。」と言われたのだ。
読んだこともないし、矢沢永吉に興味もなかったから「それがどうした」といった感じだったし、むしろ「なんで矢沢なんだ」とおもったぐらいでね。
そして、家に帰ると「成りあがり」があったではないか。
唖然。
どうやら、下の息子がたまには本ぐらい読もうと思ったらしく、たまたま買ったらしい。
そうだ、つい中学生まで「なんとか自分は黒人になれないものか」と真剣に考えていた、あの下の息子である。
ぼくが「おっ」とか言いながらこの本を手に取ったものだから、ちょっとびっくりしておった。親父の狂気的乱読は知っていたが、ついにトチ狂ってヤザワまで読むようになったのかと。
「これも何かの因縁」。
大事な国際経済の読みかけの本を止めてまで、あっという間に数時間で読んでしまった。
そうか、残念なことに広島の中広中学から市立工業高校ではエライ親戚筋にいじめられたらしい。母親は出奔し、祖母に育てられた。
彼が横川駅で待ち合わせをした状況なんかも出ていて、広島に住んでいた者にとってはえらく具体的な状況が目に浮かぶ。広島なんて大嫌いと思いっきり言い放っている。どうやら後年になって「それも許せるようになった」と云ってるらしいけども。
絵に描いたようなハングリー精神と、反発でトップを取った男の生き様だ。
中学卒業後にやむなく定時制高校を経て、大変な困難の末に今の地位を築いた女性実業家のたかの友梨がこの本を愛読書にしているというのは、彼女にとっても同じような想いをいつまでも忘れたくないためだろうか。
ぼくには矢沢を語るだけの知識もセンスも持ち合わせていない。
ほとんど、矢沢永吉という男の実像を知らないからだ。
ぼくにとっての「ヤザワ」の世界は、その昔商店街の会合の後でかならずヤザワの歌を歌っていたアズマさんを通してしかない。
かつては陸上部で、名門高校で駅伝を走った経歴を持ち、短髪でニッポン男児たるやかくあるべし、という偏った美学を持ちながら、酒を飲むとヘベレケになりながら目じりを下げて「アイ・ラブ・ユー、OK」を歌うアズマさんなのだ。
日本国が大好きで、中国が大嫌いで、そしてヤザワが大好き。
ぼくは矢沢永吉の「アイ・ラブ・ユー、OK」をほとんど聴いたことがないと思うけど、アズマさんのこの曲はよく聴いた。情感たっぷりに聴いた。笑いながら聴き、掛け声を発しながら聴き、そして目に涙をためて、最後には大きな拍手を送りながら何度も聴いた。
甲府のカズヒロも確か昔は、「ヤザワ命」だったと言ってたな。
ぼくは矢沢永吉は知らんけども、大好きな仲間を通してその純粋さを認めてる。
どれだけ多くの人々が、星になりたい、と思ったことだろう。
矢沢永吉も、星になりたかったひとりの少年だった。
星は数ほどあるはずの星なのに、星になることは困難な大事業である。
星は、どうやって星になったかを語った。
逆転しろよ!
矢沢はそんな内容の歌を、この本の中で歌い続けてくれたと思う。
あなただって、やっぱり「成りあがり」にしてほしい。
もうひとつは、「成り下がり」しかないと思うからだ。
~糸井重里の解説文より~
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