ある日の午後、
一人の青年が会社に飛び込みでやってきた。
白いポロシャツを着た青年は、営業の飛び込みでなく、
「何でもいいから仕事をさせてください」とのことだ。
それも「時給をいただかなくてはならないんです」と言うではないか。
ぼくは大卒内定者の企業研修の一環で、仕事の厳しさを植え付けることなのかと思って訊ねたら、彼は立派な入社数年の男性である。会社は福山市内では誰もが知っているジャスダック上場の24時間大手スーパーなのだ。
朝早くに研修センターを出発して、午後の6時までに5000円分の時給を獲得して帰らねばならない、という何とも過酷な体験学習なのだそうだ。もたされたお金は一日で300円。前日は無料奉仕で仕事を探しており、興味本位で使ってくれるお店(会社)もあり楽勝だったという。
しかし、一転してその日は「時給付き」ということもあり、足が棒のようになるまで仕事を探していたが、ヤマと断られたという。もういくつの会社やお店を訪問して回ったかわからないというのだ。
「あと1100円分の時給を稼がねば、今回の研修にパスしない」ともう顔が半泣きだ。
ぼくは話を聞いて、面白くもあり「よし!」と快諾した。
「2時間でよければ、1100円のお金をお支払いしましょう」というと、その青年は、
「わぁ~、涙が出そうです。ありがとうございますっっっ。」
ともう、せっぱ詰まった様子だったことをうかがわせるのだ。
後からわかったことだが、もうギリギリのタイムリミットだったらしい。
しかし、問題は「何を仕事にしてもらうか」ということ。
以外と急に言われてもそんなにない。本人はトイレ掃除でもなんでもやります、という。
思いあまって相談した事務員は、領収書にハンコでも押してもらいましょうか(笑)という。
でもなぁ、どうせなら印象に残る仕事もさせたいな、と。
ということで、ぼくが選んだ仕事は、
教育用「てんびんの詩」のDVDを観て感想文を書いてもらうことにした。
「てんびんの詩」とは、近江商人の商売の厳しさを教える教育ビデオなのだ。
一枚の鍋ぶたを売ることさえできない主人公と、厳しく育てようとする家族や親戚。
そして、一枚の鍋ぶたを売った瞬間に、主人公の少年は商売の本質を知るのである。
こんどの我が社の経営会議でも、社員から「また観たい!」と言い出すぐらいに、みんなの心を打つ。
そして、かの青年に、「これからこのDVDを観なさい。観た後に感想文を書くんよ。それで1100円分の研修にしようじゃないの」と告げたのである。「感想文がいまいちだったら、書き直しだかんね。真面目に観んさいよ」と伝えた。
かくして、
彼は上のような写真の通り、人の会社で必死に研修ビデオを観るという間抜けな話となった。
しかし、そこは社会人。観ながらちゃんとメモを取っていた。
帰りも歩いて1時間はかかるだろう研修施設まで、お金がないので徒歩で帰るという。
制限時間に間に合わない。かくしてミムラのユージ平田が優しく車で送り届けた、とさ。
数日後、
彼の会社の社長様名でお礼状と、1500円分の商品券が届けられた。
当社滞在時間約2時間。
なかなか面白い研修だ。
ご縁をいただいて、ありがとう。
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広島県福山市 ジュエリー&ウォッチ ミムラ
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