砂漠の国の物語 外伝 3 中編 | みむのブログ

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こちらはス/キップ/ビートの二次小説ブログです。CPは主に蓮×キョ-コです。完全なる個人の妄想から産まれた駄文ですので、もちろん出版社等は全く関係ありません。
勢いで書いていますので時代考証等していません。素人が書く物と割り切ってゆるーく読んでください。

続きです。
そういえば昨日は注釈つかなかった…。


パラレルなので苦手な方はバックプリーズですよ~(雑)





砂漠の国の物語 外伝 中編






「なっなななななななんっ…」

なんですか、
なのか、
なんて声を、
なのか、
彼女が言いたい事はわからないけれど、とりあえず思考の海から彼女を掬い上げる事に成功した。
ようやく我に返ったのか、キョーコは「ひゃあ」とか「きゃあ」とか言って飛びのこうとするのを腰を抱いて止める。

「積極的なのは嬉しいけど…」

「きゃー!何を仰いますか!」

あ、よかった。言いたい事は伝わったようだ。
おぶおぶと慌てるキョーコに内心胸撫で下ろしながら、レンは首を傾げて真っ赤な顔を覗き込んだ。

「で?君、何がしたかったの…?」

真っ赤な頬を冷ますように自身の両手で包んだキョーコは、恨めしげにレンを見た。

「ううう…」

「…キョーコ…言わないなら、同じ事、君にしてもいい?」

言って柔らかな太腿を撫でると、キョーコがはっしとレンの手首を掴んで止める。…素早い。

「言います!言わせていただきます!」

「…うん。」

「そ、その前に、陛下…。そのぅ、降りますので、離していただけます…?」

「え?なに。聞こえなかった。で、なんで俺の身体を撫で回したくなったのかな?」

「うぅ…っ!い、いかがわしい…!」

いや、されてるのが俺じゃなかったら十分「いかがわしい」と判断されてとっくに押し倒されてたからね、君。

思わず呆れた視線を投げると、観念したキョーコが話し始めた。

「実は、今日…孤児院を訪問しまして…その帰りに、ちょっと男性に…声をかけられまして。」

珍しくシドロモドロに話すキョーコの話を要約するとこうだ。

視察の帰り道、変質者に声をかけられ、襲われそうになった所、すぐさま反応した警護の兵士にその中年男が取り囲まれ、あっという間に連れ去られた、と。

まぁ、こんな所だ。

レンが彼女の話を要約して言うと、キョーコが顔をしかめた。

「変質者なんて…そんな事はなかったかと…」

「握手させてくれって頼んできて、握手しようとした所を君の腕を掴んで引っ張ったんだろ。十分だね」

男は凶器を所持していたわけではなかった。…この細い腕を引いた後、彼女をどうしたかったのかは未遂のため不明だ。明らかにおかしい男の様子に警戒していた兵士が素早く反応したからだった。

しかし、彼女は何故か怯えるのではなく、怒るのではなく、反省したのだ。

「わたくしに力がないから、信用もしてもらえなくて、兵士さん達も過剰に反応してしまったんじゃないかと…」

「…君ね、それを『過剰』って言うのは彼らに失礼だよ。」

「わかってます。皆さんのお仕事ですから、皆さんを責めるつもりもないです。…でも、わたくしがそういった事に少しでも自分で対応できたらいいのではないかと思って…」

彼女は馬に乗れないし、もちろん剣も握れない。護身術といった類を何も身につけていない。…貴族の婦女子ならば当然なのだが。
彼女は、護身術を身につけられたら、と、クロサキ副将軍に相談したらしいのだ。

ここまで聞いて、今度はレンが顔をしかめた。

「なんでクロサキ…?」

「いえ、ちょうどチェイスをするお約束だったので。相談というか、雑談のつもりだったのですが」


農民の駒を進めながら、次の一手を考えるクロサキにそんな雑談をすると、クロサキ副将軍はあからさまに呆れた顔をした。
ちょっとバカにもしていた…そもそもこの破天荒な男は、目上に対して表情を取り繕うなんて事はしない。

「あのね、王妃さん。にわか剣術なんて、子供の抵抗よりたちが悪い。生兵法は怪我の元だぜ。」

「でも…」

「そういうのはプロに任せて。あいつらはあんたを護るためについて行ってるんだから。」

パチリ、と「農民」を進めてクロサキはしかめ面をした。

「それを受け入れるのも、上にたつものの度量でしょうが」

あー俺、説教くせぇ事言っちまった。

うへぇ、と舌を出すクロサキに、キョーコは唇を尖らせた。
しかし、そんな王妃の不満顔にも構わずに副将軍は畳み掛ける。

「そもそもね、もし仮に、護身術を身につけたあんたが暴漢に襲われたとして、王妃さん。それでもあんたは闘うべきじゃないね。男と女じゃ、まず筋肉のつき方が違う。腕力で勝てる事はまずない。…傭兵の中には、男顔負けな腕の女もいるらしいが、それは彼女達が腕力の差を埋めようと日々の鍛錬をしている事と、まだある差を埋めようと別の利点を強化してることと…あとは経験値だな。」

「雷」の駒を奪ったキョーコに、眉間の皺を深くしてクロサキは唸った。

「あんたが学ぶべきは、剣の握り方じゃない。危機回避の直感を、敏感にするこった。」

そう言って、クロサキは「キング」を移動した。




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副将軍は動かしやすい。

さて、次回はちょっと位いちゃラブを…お願いします‼


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