むしむしした梅雨の季節にこんばんは。みむです。
バンプがあまりに甘さがない展開のため、反動で書きました…砂漠の二人です。
だって、そうですよ。恋人同士な二人であの有様。夫婦の二人でこの有様…。
バンプの二人は恋人ですらないので甘さが皆無…。
ではでは、どうぞー。
砂漠の国の物語 外伝 3
さわさわ
「ええっと…」
さわさわさわ
「…キョーコ?」
さわさわさわさわ
戸惑いながらも声をかけてみるが、チェイスに熱中している時と同じように、彼女は完全に考えに没頭している。…考えに没頭して呼びかけを無視される位ならば構わない。
他に人目もある昼間の執務中ならばともかく、今は夜。ここは夫婦の寝室。
…問題はないのだが…
(これはある意味問題な…)
問題は、まず態勢。
馬乗り、である。
俗に言おうが言わまいが、これを表現する方法をレンは他に知らない。
華奢な身体が上に乗っている。
重さは全く問題ないが…
夫婦の、寝室で、この態勢は本来ならば問題ないのだが、ここでさらに問題が一つ
チェイスで局面に立った時のように、彼女がまったく色を感じさせない表情で何か考えに没頭していることである。
「ええっと…」
珍しく、レンは二の句に迷った。
問題その三。
彼女の小さな手が、先ほどからレンの腕やら胸やらをしきりになぞるのである。
…いや、これも、夫婦の夜の寝室ならば以下略。
今日の務めを終えて、寝台に寝そべるまではいつもと同じだった。
ベッドヘッドにもたれて座り、いつも通り今日一日の話をしようとした所
思いつめた表情の彼女が言った。
「陛下…お願いがあるのですが…私、欲しいものがあるのです」
「うん?珍しいね、何?」
「今夜のあなたの、時間と身体を」
「…………。」
それ関係に恥ずかしがり屋な程に恥ずかしがり屋な彼女からの言葉に、言葉を失い、思わず反射的に頷くと
彼女は花のように笑った。
「よかった!ありがとうございます!では、しばらく動かないでいてくださいませね」
そう言われて、フラフラと伸ばされていた手が宙空で停まった。
そして、馬鹿な男の期待を裏切り、今に至る…。
思えば、あんな台詞を、彼女が頬も染めずに真剣な顔で言った時から気づくべきだった…というのは後の祭りである。
言わずもがなであるが、二人とも夜着はきっちり着込んでいる。今夜も寒い。
(いや、馬鹿か?期待した俺が馬鹿なんだろうか…。)
何せ、時間、場所、二人の関係からして完璧な状況。
しかし、彼女はことこれ関連についてはレンの予想の斜め上をいく。
彼女は「やっぱり…」「いえ、でも…」などとブツブツ言いながら、丹念に大きな身体をなぞる。
最初は掌。
宙空を彷徨っていた大きな掌を両手で持ち、長い指をなぞって調べる。
剣を持つためにできたタコをなぞり、自分の小さな掌と合わせてみて、なにやら感心していた。
続いて、腕。
レンの利き腕を取り、筋肉の筋を辿る。
ゆるみはカケラもない身体をなぞる彼女に少しでも艶が見えたなら、すぐにでも押し倒してしまうのに、彼女はまるで医者のように身体を観察しているのだ。
なにやら彼女に考えがあるようなのでしばらく好きにさせてみたのだが、
服の上からとはいえ、胸板を撫で、割れた腹筋を辿りだした頃、我慢の限界だった。
少し惜しいような気もしたけれど、しょうがない。普通の呼びかけにも応えてくれないし、このままでは普通に押し倒してしまいそうだ。
夢中になっている彼女の耳元に、口を寄せた。
「…キョーコ、くすぐったい」
囁かれた夜の声に、キョーコが飛び上がった。
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あのセリフ…キョーコさんに言わせてみたかった…。
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