サービスの種類や質は、無限にあります。
ラーメン屋に行きます。
【こだわりのダシ。煮干しスープ】とあります。
こだわっているだけあるのか、なかなか出てきません。
『待たせたね。大盛りにしといたよ』とやっと出てきたと思ったら、驚きます。
『ちょっとおじちゃん、指入ってるよ!』
『ああ、大丈夫だよ。熱くないよ。慣れてんだ』といいます。
『帰ろうかな』と思います。
2度と来ないことを誓い、とりあえず食べ始めます。
食べ終えて『まぁ味はそこそこ良かったかな』と最後にスープを飲み干すと、何かが顔を出します。
『おい、おっちゃん!ゴキブリ入ってるぞ!!』
『ああ、大丈夫。死んでるよ』
大丈夫じゃないことばかりなのです。
味を評価した自分が悲しくなります。
とんでもないダシです。
おっちゃんはドヤ顔です。
結局、何がサービスかということです。
サービスをどう捉えているかということです。
サービスは、お客様の立場に立つことが大原則です。
自分が相手の立場に立った時に何をしてほしいかです。
ゴキブリを食べたいという人は、まずいません。
少なくとも、ラーメン屋に来ている以上、ゴキブリは食べに来ていません。
笑い話ではなく、ギャグかと思えるようなサービスをしている場所はたくさんあります。
しかし、当の本人たちは本気なのです。
何か勘違いをしているのです。
勘違いに慣れると、それがスタンダードになります。
もちろん、悪気もなくなります。
確かに、お客様の要求は気づきにくい部分も多いです。
その気づきにくい、細かい部分をいかに拾っていくかです。
どれだけ当事者意識を持つことができるかということです。
ここで差がつきます。
サービスには、正解がありません。
あるお客様から『感激したよ。とても行き届いたサービスだね。ありがとう』といわれます。
良い気分で別のお客様に試したら『そっとしておいてくれないかな。空気の読めない店員さんだな』と言われてしまいます。
1つのアクションが、お褒めにもクレームにもなります。
ここがサービスの面白いところです。
ある側面から見ると、どちらも正しいのです。
唯一絶対の正解はないということです。
できるだけ多くのお客様に支持をいただくサービスを目指そうとすると、必ずどこかで挫けます。
それがマニュアルです。
マニュアルを否定していても、つい大人数に嫌われないようにとマニュアルに頼ってしまいがちです。
本人も、マニュアルだとは思っていません。
臨機応変にやっているつもりです。
究極、サービスにマニュアルなどは存在しません。
たくさんの人にクレームをいただいて、お褒めいただいて、いくつもサービスのパターンをストックしていくのです。
お客様に応じて、引き出しを開けます。
ときにはいくつもの引き出しを開け、サービスを掛け合わせていかなければなりません。
別のお客様から得た経験同士は、必ずどこかで有機的に結びつき新たなサービスへと進化を遂げます。
自分では『矛盾していたな』と思っていた対応が、お客様の心を掴みます。
これも、新しい経験のストックです。
【臨機応変】という言葉の深さは、自分自信で拡げていくものなのです。