「この子は運動神経がいい」

「この子はセンスがある」

 

「この子はなかなか覚えられない」

 

「この子には、まだ難しいだろう」

 

子どもたちを指導していると、一人ひとりの能力や成長の違いを感じることがある。

 

同じことを教えても、すぐにできる子がいる。

 

何度繰り返しても、なかなかできない子もいる。

 

しかし、僕は以前から考えていることがある。

 

今できないことと、将来できないことは、まったく違う。

 

例えば、小学生の頃には目立った結果を残せなかった子が、中学生になって大きく成長することがある。

 

反対に、小学生の頃から強かった子が、成長とともに伸び悩むこともある。

 

身体の成長、運動経験、理解力、練習への取り組み方。

 

子どもの競技力には、さまざまな要素が関係している。

 

だからこそ、今の姿だけを見て、その子の将来を判断することはできないと思っている。

 

では、指導者が、

 

「この子には無理だ」

 

と考えてしまったら、どうなるだろうか。

 

本人に直接言わなかったとしても、指導の中にその考えが表れることがある。

 

難しい練習を経験させなくなる。

 

挑戦する機会を与えなくなる。

 

できない理由ばかりに目が向くようになる。

 

そして、いつの間にか、その子に対する期待そのものが小さくなってしまう。

 

僕は、これが最も怖いことだと思っている。

 

もちろん、すべての子が同じように成長するわけではない。

 

努力すれば、必ず全国大会で優勝できるわけでもない。

 

しかし、それと可能性を決めつけることは別の問題だ。

 

指導者に必要なのは、現在の能力を正しく把握すること。

 

そして、その子が次の段階へ進むためには、何が必要なのかを考えることだと思う。

 

例えば、フットワークがうまくできない子がいる。

 

そのとき、

 

「この子は動きが悪い」

 

で終わってしまえば、何も変わらない。

 

なぜ動けないのか。

 

足の運び方が分からないのか。

 

身体の使い方に問題があるのか。

 

シャトルの軌道を判断できていないのか。

 

それとも、練習の難易度が合っていないのか。

 

原因によって、必要な指導は違う。

 

一人ひとりの課題を見極め、できるようになる方法を考える。

 

それが指導者の仕事ではないだろうか。

 

そして、これは保護者にも共通することだと思う。

 

「うちの子は運動神経が悪いから」

 

「うちの子には才能がないから」

 

何気なく口にしている言葉が、子ども自身の考え方に影響することもある。

 

子どもは、大人が思っている以上に、周囲の言葉や態度を感じ取っている。

 

だからこそ、今できないことを、その子自身の限界のように伝えないことが大切だ。

 

できないことがあれば、どうすればできるようになるのかを一緒に考える。

 

少しでも改善できたことがあれば、その変化を認める。

 

挑戦したことにも目を向ける。

 

そうした経験が、子どもの次の挑戦につながっていくのだと思う。

 

僕は、強い選手を育てるために、指導者が最初に持たなければならないものがあると思っている。

 

それは、子どもの可能性を信じる姿勢だ。

 

ただし、何の根拠もなく「できる」と言い続けることではない。

 

現実を正しく見つめ、課題を明確にし、その子に必要な指導を続けること。

 

可能性を信じるとは、できるようになるための方法を考え続けることだと思う。

 

子どもは、今の姿のまま成長していくわけではない。

 

身体も変わる。

 

考え方も変わる。

 

経験によって、できることも増えていく。

だからこそ、今の結果だけで、その子の未来を決めてはいけない。

指導者が育てているのは、現在の能力だけではない。

これから成長していく、一人の人間なのだから。

「この子には無理だ」と決める前に、「どうすれば、この子はできるようになるのか」を考えたい。

僕は、そんな指導者であり続けたい。