試合の日、あなたはお子さんにどんな言葉をかけていますか。
「頑張れ」「負けるな」「ミスするなよ」——善意からの言葉です。
でも佐々木正美先生の『子どもへのまなざし』を読んでから、私はこの言葉の持つ重さについて、改めて考えるようになりました。
佐々木先生は長年、子どもの発達と親子関係を研究してきた児童精神科医です。
その先生がこの本で繰り返し伝えているのは、たった一つのことです。
「親のまなざしが、子どもの世界をつくる」。
まなざしとは、言葉だけではありません。
目の表情、声のトーン、試合後に子どもを迎えるときの表情——そのすべてが「まなざし」です。
そしてそのまなざしが、子どもの自己イメージを形成していきます。
「この子はダメだ」という目で見続けると、子どもは本当にそうなっていく。
逆に「この子は大丈夫」という信頼のまなざしで見ると、子どもは自分を信頼できる人間に育っていく。
バドミントンの現場でも、同じことが起きています。
試合で負けた直後の親の顔を、子どもはしっかり見ています。
「あ、がっかりしてる」と感じた瞬間、子どもの心に何かが刻まれます。
結果を出せなかった自分は、愛されないかもしれない——そういう不安が、じわじわと積み重なっていきます。
「あなたがバドミントンをしているから好きなのではなく、あなただから好き。」
— 佐々木正美『子どもへのまなざし』の精神
この感覚が伝わっている子どもは、試合で負けても立ち直れます。
悔しさを力に変えられます。
逆に、勝ったときだけ親が喜ぶ環境で育った子どもは、勝ち続けなければならないというプレッシャーに縛られていきます。
佐々木先生がもう一つ大切にしているのが、「待つ」ということです。
子育ては「させる」ではなく「待つ」。
子どもが自分のペースで育つ時間を、信じて待てるかどうか。
これが自立心を育てると先生は言います。
試合後、アドバイスをしたくなる気持ちはよくわかります。
私も指導者として、すぐに「あそこはこうすれば」と言いたくなります。
でもまず最初にすることは、黙って隣に座ることです。
子どもが話したくなったとき、初めて話を聞く。
その順番を守るだけで、子どもの表情が変わります。
ミンピーベーサーでは今月、保護者の方々と一緒にこの本を読んでいます。
「親が変わったとき、子どもはどう変わるのか」——その問いに、佐々木先生の言葉が深く答えてくれます。
今日、お子さんを迎えるとき、まず一つだけ意識してみてください。
結果ではなく、その子の顔を見る。
「どうだった?」と聞く。
それだけでいいです。
まなざしは、言葉より先に届くからです。