近年の教育や子育ての場面では、

「子どもは褒めて育てるもの」

 

という考え方が広く浸透しています。

 

しかし、その理由について深く考えられることは意外と少ないように感じます。

 

「自己肯定感が大切だから」

 

「褒めることが良いと言われているから」

 

「今の時代はそういう教育が主流だから」

 

という理由で語られることも少なくありません。

 

もちろん、私は褒めること自体を否定しているわけではありません。

 

ただ、本当に大切なのは、

 

褒めることそのものではなく、その関わりが子どもの成長につながっているかどうか

 

だと考えています。

 

私はこれまで多くの子どもたちと関わってきましたが、成長する子どもたちに共通しているのは、「褒められたから頑張る」のではなく、「自分で考え、自分で決め、自分で行動する力」を持っていることです。

 

社会に出れば、常に誰かが褒めてくれるわけではありません。

 

努力しても認められないこともあります。

 

頑張っても結果が出ないこともあります。

 

それでも挑戦し続けられる人になるためには、

 

「褒められるから頑張る」

 

のではなく、

 

「自分が成長したいから頑張る」

 

という力が必要です。

 

私は、その力こそが本当の意味での自立につながると考えています。

 

そのために最も大切なのが愛情です。

 

私は愛情とは、ただ優しくすることではないと思っています。

 

愛情とは、

 

「その子の成長に責任を持つこと」

 

です。

 

本当に愛情があるなら、

 

認めることもある。

 

励ますこともある。

 

見守ることもある。

 

そして時には、耳の痛いことや厳しいことを伝えることもあります。

 

嫌われたくないから言わない。

 

機嫌を損ねたくないから見て見ぬふりをする。

 

辞められたくないから注意しない。

 

それは一見優しさのように見えるかもしれません。

 

しかし、その結果として子どもが困ることになるのであれば、それは本当の愛情とは言えないでしょう。

 

本当の愛情とは、その子の未来を考え、必要なことを伝える勇気を持つことです。

 

約束を守ること。

 

時間を守ること。

 

感謝を伝えること。

 

仲間を大切にすること。

 

最後までやり抜くこと。

 

これらは競技力向上だけでなく、人生そのものを豊かにする力です。

 

だからこそ、私たちは子どもたちに伝え続けなければなりません。

 

もちろん、私は褒めることを否定しているわけではありません。

 

むしろ、褒めることも大切な指導の一つだと思っています。

 

ただ、それは目的ではなく手段です。

 

子どもの成長につながるのであれば褒める。

 

認めることが必要であれば認める。

 

問いかけが必要であれば問いかける。

 

見守ることが必要であれば見守る。

 

厳しく伝えることが必要であれば伝える。

 

大切なのは、

 

「褒めるべきかどうか」ではなく、「その子の成長のために今何が必要か」

 

なのです。

 

私は普段からむやみに褒めることは多くありません。

 

なぜなら、簡単に褒める言葉を使い続けると、その言葉の重みが薄れてしまうからです。

 

私は日々の努力や姿勢を見ています。

 

結果だけではなく、その過程も見ています。

 

だからこそ、

 

本当に成長した時、

 

苦しい壁を乗り越えた時、

 

仲間のために行動できた時、

 

大会で自分の力を出し切った時、

 

引退や卒業という節目を迎えた時、

 

心から「よく頑張ったな」と伝えます。

 

すると、多くの子どもたちは本当に嬉しそうな顔をします。

 

中には、

 

「岩垂さんに褒めてもらえた」

 

と喜ぶ子もいます。

 

それは、普段から簡単に褒めないからではありません。

 

その子の努力や成長を見続けた上で伝えていることが伝わるからだと思います。

 

私は、指導者の役割は子どもを気分良くさせることではないと思っています。

 

また、子どもに好かれることでもありません。

 

指導者の役割は、

 

子どもが自ら考え、自ら行動し、自ら成長できる人間へと導くこと

 

です。

 

私たちが育てたいのは、

 

褒められないと頑張れない子ではありません。

 

困難な状況でも、

 

自ら考え、

 

自ら決断し、

 

自ら行動し、

 

仲間のために力を発揮できる人です。

 

競技の世界でも、人生の世界でも、高いレベルを目指す道は決して楽ではありません。

 

だからこそ、

 

流行の教育論や表面的な手法に振り回されるのではなく、

 

目の前の子どもにとって本当に必要なことは何かを考え続けることが大切なのだと思います。

 

褒めることが大切なのではありません。

 

叱ることが大切なのでもありません。

 

大切なのは、

 

子どもの成長に責任を持ち、その子の可能性を信じて関わり続けることです。

 

その土台となるのが愛情です。

 

そして私は、

 

指導者にとっての愛情とは責任である。

 

そう考えています。

 

だからこそ、これからも子どもたち一人ひとりの可能性を信じ、時には励まし、時には問いかけ、時には厳しいことも伝えながら、成長を支え続けていきたいと思います。