新学期が始まりました。
「今年こそバドミントンをもっとうまくなりたい」と思っている子どもたちが、全国にたくさんいるこの時期。
コーチとして、そういう子どもたちに最初に伝えることがあります。
技術のことではありません。練習量のことでもありません。
「うまくなりたい」という気持ちの「使い方」についてです。
「うまくなりたい」には2種類ある
「うまくなりたい」という気持ちには、実は2種類あります。
① 「あの選手に勝ちたいからうまくなりたい」
② 「もっとバドミントンを楽しみたいからうまくなりたい」
どちらも「うまくなりたい」という言葉ですが、中身が全く違います。
①は「他の誰か」が基準です。②は「自分自身」が基準です。
この違いが、1年後・3年後の成長を大きく左右します。
「誰かに勝ちたい」を原動力にする危険性
「あの子に勝ちたい」という気持ちは、強いモチベーションになります。
短期的には、猛烈な練習の原動力になることもあります。
でもこの気持ちだけを原動力にしていると、必ずある壁にぶつかります。
その相手に勝った瞬間に、モチベーションが消える。
目標だった相手に勝った後、「次は何のために頑張ればいいんだろう」という空虚感に陥る選手を、何人も見てきました。
また逆に、その相手にどうしても勝てない時期が続くと、「自分には無理だ」という気持ちが生まれます。
その気持ちが体を硬くして、本来の力が出せなくなります。
「誰かに勝ちたい」を唯一の原動力にすることの危うさが、ここにあります。
「自分自身の成長」を原動力にする力
一方「もっとバドミントンを楽しみたい」「昨日の自分より今日の自分が少しでも成長したい」という気持ちを原動力にした選手は、長く成長し続けます。
なぜか。
この原動力は、他の誰かの存在に左右されないからです。
勝っても負けても「自分は成長したか」という問いは変わりません。
強い相手がいても弱い相手がいても「昨日より今日の自分はどうか」という基準は変わりません。
この「自分軸の成長」を原動力にした選手は、試合の結果に関わらず、練習に向かい続けます。
向かい続けるから、長期的に大きく成長します。
では「勝ちたい」という気持ちはいらないのか
誤解しないでほしいのですが、「勝ちたい」という気持ちは大切です。
試合に本気で向かう姿勢、勝負へのこだわり——これらは選手として必要な感情です。
ただ「勝ちたい」と「自分の成長」の両方を持っている選手が、一番強くなります。
「勝ちたい」という気持ちが試合での集中力を生み、「自分の成長」という視点が長期的な練習の継続を生む。
この両輪が揃った時、選手は本当の意味で強くなります。
新学期、一つだけ決めてほしいこと
新学期が始まった今日、一つだけ決めてみてください。
「今年の自分はどんな選手でありたいか」
「〇〇に勝つ」ではなく「〇〇な選手でありたい」という形で。
「最後まで諦めない選手でありたい」 「仲間に声をかけられる選手でありたい」 「どんな状況でも自分のプレーができる選手でありたい」
この「在り方」が決まると、毎日の練習の意味が変わります。
結果が出ない時でも、練習に向かえる力が生まれます。
「うまくなりたい」という気持ちを、正しく使ってください。
その気持ちは、あなたの大切な力です。