バドミントンを愛する皆さん、そしてお子様の成長を心から願う保護者の皆様、こんにちは! 日々の練習、本当にお疲れ様です。

 

今回は、試合中のメンタルについて、少し深いところからお伝えしたいと思います。技術や戦術の話ではありません。

 

「心の在り方」という、もっと根っこにある話です。

 


「どうすれば良いか」より「どうあれば良いか」

試合で気持ちが折れそうになった時、多くの人はすぐに「どうすれば立て直せるか」という方法を探します。深呼吸をする、ポジティブな言葉を唱える、ルーティンをこなす……これらはもちろん大切な手段です。

 

しかし、コーチングの世界には「オントロジカル(存在論的)コーチング」という考え方があります。これは、行動のパターンや技術ではなく、その人の「在り方」にフォーカスするアプローチです。

 

「在り方」とは何か。それは言語・感情・体(生理機能)が生き生きと相互作用することで生まれるものです。私たちの行動は、この「在り方」によってコントロールされています。つまり、試合で緊張してしまうのは、技術が足りないのではなく、その瞬間の「在り方」が崩れているからかもしれません。

 

どんなに練習を積んでも、試合になると別人のようになってしまう選手を見たことはありませんか?それは努力が足りないのではなく、「在り方」が変わってしまっているのです。だからこそ、方法論だけでなく、根本の「在り方」に目を向けることがとても大切なのです。

 


なぜ、試合で気持ちは折れるのか

試合中にメンタルが揺れる原因は、大きくわけると5つあります。

 

1. 過度なプレッシャー 

「絶対に負けられない」「良い結果を出さなければ」という強い思いは、時に私たちを押しつぶすほどの重荷になります。心臓の鼓動が速まり、呼吸が浅くなり、筋肉が硬直して、思考が鈍くなる。その結果、普段なら難なくできるプレーが、まるで別人のようにぎこちなくなってしまいます。

 

2. ミスの連鎖

 一度のミスは誰にでも起こります。しかし「またミスをしてしまうのでは」という不安に駆られると、さらにミスを重ねてしまうことがあります。これは悪夢のようなスパイラルで、じわじわと心を蝕んでいきます。

 

3. 強敵への諦め 

実力が明らかに上の相手と対戦する時、「どうせ勝てない」という諦めが芽生えることがあります。しかし本当にそうでしょうか?諦めた瞬間、試合はもう終わっています。まだコートに立っている限り、可能性はゼロではありません。

 

4. 周囲の期待というプレッシャー 

保護者やコーチ、チームメイトからの期待は勇気をくれる一方で、「期待に応えなければ」という思いが強すぎると自分のプレーに集中できなくなります。期待は愛情の裏返しですが、重くなりすぎると逆効果になることもあるのです。

 

5. 過去のトラウマ 

以前の試合で経験した大敗や怪我、厳しい言葉——そういった記憶が試合中にフラッシュバックし、自信を失わせることがあります。過去の経験は財産でもありますが、時に足かせにもなります。

これらに共通しているのは、すべて「在り方」の崩れとして体と感情と言語に現れるということです。

 


「在り方」を取り戻す3つのアプローチ

それでは、崩れてしまった「在り方」をどうやって取り戻せばよいのでしょうか。ここでは、試合の中でもすぐに実践できる3つのアプローチをご紹介します。

 

① まず体から整える——深呼吸という安定剤 

体と感情は深くつながっています。体が緊張すれば感情も揺れ、感情が揺れれば言葉もネガティブになる。だからこそ、まず体から整えることが有効です。

鼻から4秒かけてゆっくり吸い、口から6秒かけてゆっくり吐く。お腹を膨らませ、へこませる腹式呼吸を5回繰り返すだけで、体は少しずつ「安全な在り方」に戻っていきます。サービス間のわずかな時間でも、この深呼吸は十分できます。難しく考えず、まず息を整えるところから始めてみてください。

 

② 言葉の力を使う——ポジティブな言葉で在り方を変える 

「自分はできる」「絶対に諦めない」「ピンチはチャンスだ」——こうした言葉は単なる気合いではありません。言語は感情と生理機能に直接働きかけます。心の中で唱えるだけでも、体と気持ちが少しずつ変わり始めます。

自分なりの「自分を奮い立たせる言葉」をあらかじめ決めておくのもおすすめです。練習の時から繰り返し使っておくことで、試合の緊張した場面でも自然と口をついて出るようになります。

 

③ 結果ではなくプロセスに目標を置く 

「絶対に勝つ」という目標は、達成できなかった瞬間に心が折れてしまいます。それよりも「スマッシュを5本決める」「積極的に前に出る」「最後まで足を動かす」といった、プロセスに焦点を当てた目標の方が、自分でコントロールしやすく、達成感も得やすいのです。

目標は具体的で、達成可能で、測定できるものが理想的です。試合前に「今日の自分の目標」を一つ決めてコートに立つだけで、気持ちの向き先が変わります。

 


日々の練習で「在り方」を鍛える

試合で発揮できる「在り方」は、日々の練習の中でこそ育まれます。

 

イメージトレーニングでは、目を閉じて自分が最高のプレーをしている姿を鮮明に思い描きましょう。相手の動き、ラケットの感触、シャトルの軌道、そして成功した時の感情まで。繰り返しイメージすることで、脳はそれを「経験」として蓄えていきます。

 

また、ミスをした時にただ落ち込むのではなく、「なぜミスが起きたか」「次はどうすればいいか」と分析する習慣をつけることも大切です。失敗から学ぶ力こそが、長期的なメンタルの強さを育てます。

 

練習から「折れない心」を意識して積み上げていくこと——それが試合での「在り方」を守る最大の準備です。

 


保護者の皆様へ

お子様が試合でプレッシャーを感じている時、「なんであんなプレーをするの」「もっと頑張れるでしょ」という言葉は、その子の「在り方」をさらに崩してしまいます。

 

結果よりも努力を、ミスよりも挑戦を、声に出して認めてあげてください。「よく頑張ったね」「あそこのプレー、かっこよかったよ」——そんな一言が、子どもたちの「在り方」を支える最も大きな力になります。

 

バドミントンを通じて、技術だけでなく、心の在り方も一緒に育てていきましょう。お子様がコートの上で自信を持ってシャトルを打てる日を、私たちも一緒に目指しています。

 

今日も一緒に、一歩一歩進んでいきましょう!