Autumn tragedy | 伽想詩

伽想詩

愛するものは猫と本と花......そしてantique

こんな時はどうすれば良いのだろう.............................



家人が大きな金木犀を見るも無惨に切ってしまった

樹齢数十年、高さ4mは有ろう立派な樹だった

そして小さな鉢植えからやっと大きく育った夾竹桃

夏になると次々に白い花を咲かせていた

何故か玄関先がやけに明るくて気になって外に出てみると

件の悲劇が目に飛び込んで

蒼白・絶句・泪すら出ない

いくら見てもそこに在るのは何もかもをバッサリ切られた
1mあまりの2本の「幹だけ」だった

今年はいつもより早く咲きそうで
その芳香を何よりも楽しみに待っていた


なのに


そこには申し訳程度に枝を残されている「幹」しか無い



空を見上げれば青く茂った金木犀の樹が青い空と一緒に見えて

疲れて帰っても夾竹桃が私を優しく迎えてくれた


どんなに切られても樹は何も言えない 何も抵抗出来ない

ゴミ袋に詰め込まれた沢山の青い葉とまだ固いつぼみ達

私にとってそれは遺体に等しい



今年も

風に乗って家中を満たしてくれるあの香りを待っていたのに

ミーコの想い出がふんわりと蘇って来たのに


樹は生命力が強いからきっとまた切られた枝から小さな芽を出すだろう

そう信じこまないと(大袈裟かも知れないけれど)生きていく気力さえ湧かない


それにしても樹を切りながら何も思わなかったのだろうか




私は何という人と暮らしてるんだろうと思うと哀しかった

哀しすぎて言葉も泪も出なかった



私にとってそれは秋の悲劇でしか無い



こう言う感情は分かる人にしか理解出来ないと思う
きっと、たかが「樹」なのだろう
青い葉や白い花やオレンジ色の小さな十字型の花や
秋の深まりを知らせるあの香りは
全くドウデモヨイモノなのだろうな
寂しいよね、そんなのって