理由 | 伽想詩

伽想詩

愛するものは猫と本と花......そしてantique

月日が流れ、時を重ねても

幾つもの季節が巡っても

悲しい想いが消えないのは

ただ大切なものを亡くしたからでは無く

立ち向かう相手を正面から見極める事が出来ず

あれで本当に良かったのか

自問自答を今も繰り返しているからなのだろうか



結局は病気の原因が分からなかった

ミーコに関して言えば突然の(それこそ異常な)多飲多尿に加え

昏々と眠り続けると言う事がある日突然始まった

血液検査の数値は特別な箇所の異常を示す所は無く

年齢的な事を考慮して取り敢えずは輸液とコバルジンの投与を開始

そして食欲の廃絶を食い止めるべく強制給餌をしたのだったが

そのうち徘徊が始まり、時折暗いところに身を潜め

一日中家の中を歩き回る日々が続いた

何も食べず、まともに眠る事も無くただ歩き回るだけだった

日に日に危機感を感じ始め、転院して再検査をしても

その時点ではやはり病気の原因は特定出来なかった

おそらくは脳(下垂体)の異常と言われたものの

この状態ではとても麻酔をかけてのCTやMRIも無理だから

取り敢えずは体力の回復を優先しての入院だったが・・・・・

その後わずかに自力で食事を取るようになったので

一時退院をしたものの、まともに歩く事やトイレでの排泄さえ不可能になり

とうとう右目の光まで突然失ってしまう

もうこの時点で水さえ飲めなくなり、再入院後は

ステロイドの投与と免疫力の低下により多臓器不全を起こし始め

完全に寝たきり状態となり白血球は計測不能までどんどん上昇して行った

そして家に連れて帰って2日後に力尽きた


どこが悪かったのか、根本は、原因は

殆ど分からずに、的確な治療もしてやれなかった


それでも亡くなる少し前に抱きしめて

今まで彼を苦しめただけだった事を心から謝った時

声も出せないのに部屋中に響き渡るほどに大きくゴロゴロと喉を鳴らし

あの時あの音は私を優しく包み込んでくれた

きっとあれが最後のお別れだったのだろう


もちろん助けたい一心での治療と入院だったのに

それをきっかけに猛烈な勢いで弱っていったのは事実だった

結局何も分からず何も出来ずに終わってしまった

ごめんね

でもまさかこんな結末になるなんて思ってなかったから


そしてプーコも同じだった

突然の体調不良、今度は絶対に同じ繰り返しはしないと誓ったのに

結局は原因を突き止められず

手探りでの治療と入院になり、焦った末に

転院して通院を始めて数日後に逝ってしまった


未だに諦めが付かず

自分のした事が悔やまれて悔やまれて仕方無い


言い訳にもならないけれど


全力で正面から病と立ち向かう事が出来なかった


最初から最後まで手探りでしか立ち向かえなかった事


原因に確たる証が有れば、もっともっと手立てが有ったはずなのに


これが今も悲しい想いを引きずっている大きな理由の一つなのだと思う


想い出して微笑む事はまだまだ遠い先のお話だろう