パンでバイオリンを作ったコルドンブルーの思い出 | みもざてい ~湘南(藤沢・茅ヶ崎)のパン教室・和菓子教室

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みもざていは藤沢市・茅ヶ崎市の湘南ライフタウンにあるパン教室・和菓子教室です。
ル・コルドンブルーで学んだ製パンの技術、ご家庭でも作りやすい和菓子の作り方を皆様にお伝えしたいと思います。



昨日の青山夏美さんとダヌーツ・マーニャさんのコンサートで、

ダヌーツさんのバイオリンを聞きながらコルドンブルーのことを思い出していました。


コルドンブルーのパンクラスBaseの期末テストで工芸パンを作る機会が与えられました。

その時、私はバイオリンを作りました。

みもざていメンバーの方から大切なバイオリンを貸していただき

寸法を正確に測り、できるだけ本物に近いものを作ろうと思い、

期末テストまで、自宅で試作を繰り返すこと2か月。

その間パンで作ったバイオリンは14本。

そして、試験のときは会心の作を作ることができました。


工芸パンの他にも当日その場でくじ引きで課題のパンが選ばれ、それを焼きあげた後は、

各自そのパンをディスプレイします。


私はその時、一つの物語を作りました。





    彼女が好きなものは、美味しいパンと音楽、そしてワインとチーズ。
    先ほどの音楽会の余韻に浸りながらのディナー。
    サプライズはバター入れの中。

    このテーブルにつくのが、出会って間もないカップルなのか…
    数日前の小さな喧嘩の仲直りのきっかけを探す男女なのか…
    あるいは、長い年月を共に歩み、いぶし銀の輝きを放つご夫妻なのか…
    それは、これをご覧になる方のご想像のままに。

    私はテーブルの上の物たちが、人を癒し、和ませ、励ます力があると信じています。

    そして、願わくば、私が焼いたパンで喜びを差し上げることが出来たら、
    これ以上の幸福はありません。


私はフランス語は書けないし話せないので、通訳の方にこれを訳していただいて、

プレゼンテーションの傍らに飾りました。

 

“サプライズはバター入れの中”

という私の作文に、

コルドンのシェフたちは「これはどういう意味だろうか?」

と皆で話し、一人のシェフが

「わかった!バター入れの中にバターの代わりに何かプレゼントがあるんだよ!」

とおっしゃったそう。


その通り!

私はバター入れの中に指輪とバラの花を入れてプレゼンテーションしたのです。


そして、そのプレゼンテーションを含め、

結果はコルドンブルーのシェフたちから高い評価を得ることができました。


その時のステファンシェフの

「素晴らしい仕事を見せてくれてありがとう。

あなたが、首席の成績です」

と言われた時の喜びは今でも覚えています。


今でも、バイオリンを見ると、演奏を楽しむ以前にあの時の思い出が思い起こされ、

思わず泣きそうになります。