葡萄は、春になり、
気温が上がってくると
水上げが活発化し、
土の中の養分とともに大量の水を
吸い上げます。
葡萄が休眠から目覚めた2週間の間だけ、
この「葡萄のなみだ」と呼ばれる
樹液を採取することができます。
お写真お借りしました
その樹液の美肌効果は、
科学的にも立証されているもので、
コラーゲン合成サポート、
メラニン抑制効果があり、
肌の潤いを約160%に上げ、
メラニンを40%カットするとか。
地元のワイナリー倶楽部の会員になり、
山葡萄のなみだで化粧水を作る体験が
ずっと気になっていたのですが、
近年開催されていませんでした。
それが、先週、受付します、と
小さな案内が届きました。
採取できる期間が2週間であるために、
急に短い期間で開催されることに
なったようでした。
同じく会員になっているお友達が
すぐ申し込んでくれたおかげで、
念願の山葡萄のなみだの化粧水作りを
体験させて頂きました。
ワイナリーの方が
早朝からビニールに葡萄のなみだを
集めてくださっていました。
急に暖かくなったので、
採取できなくなってきた、とのことですが、
こんなに!とビックリ。
キッチンペーパーで漉して
山葡萄のなみだを肌に吸い込むための
アルコールなどを混ぜて、
ひたすらに混ぜます。
こうして、
憧れの山葡萄の涙の化粧水が完成しました。
私が子供の頃、
庭に葡萄の木がありました。
小さな実は可愛く甘く、
葡萄棚越しに見る空が大好きでした。
ある年、木の皮の下に虫が入ってしまい、
恐ろしい量の農薬を使うことになるため、
根本から切られた葡萄の木。
何日も何日も
切り口から水がでてくるのを見て、
葡萄が泣いている、と、
悲しくてしゃがみこんで泣きました。
あの時、たまたま休眠期から目覚めた
2週間というタイミングに
重なっていたのだと、
大人になってからわかりましたが、
その時の樹液を葡萄のなみだ、と呼ぶと知り、
改めて、ずっと胸が痛んできました。
山葡萄のなみだの化粧水は
冷蔵庫に入れて保存します。
冷えているので、
掌でゆっくり温めて、
顔に染み込ませます。
この少しいつもより丁寧な時間に、
山葡萄のなみだの化粧水を
掌に広げ、顔を覆いながら
掌で顔を覆って泣いていた小さな自分を、
肌に化粧水を吸いこませながら
あの時の葡萄のなみだを、
いま慰めることが出来たような
気がしています。