大昔に庭に植えた芍薬が、
今年もすごくたくさん花をつけました。

庭の隅に植えたので、

あまり人目につかないのが可哀想で、

さくさく切り花にし、家に飾ったり、

お友達へのお土産にしたりしています。


今年も切りながら、ある人のお顔が浮かびました。

鯖江市にある有名なクレープやさん。

この出来事のあと、クレープのお礼に

庭のミモザをお届けしたのですが、

そのあとすぐにオーナーさんは入院され、

しばらくお店をおやすみされていたのです。


再開されたとインスタで知ったので、

快気祝いに、芍薬をお届けしよう、と

ハンドルを握りました。


到着した時、

ちょうど売り切れの案内を

出そうとしたオーナーさん。

私の手にした芍薬を見ると、

「あなた!前にミモザを下さった方でしょう!」

と声をあげてくださいました。


ミモザがとても長持ちして、

ミモザにとても元気づけられて、

お礼を言いたかったの、と。


そして、またもや、多分、

二号店に運ぶ予定のクレープの中から

クレープを取り出して、

「お金はいらない」

と差し出してくださったのです。

「私は、人より少しだけしあわせだから」

といって、しあわせをお裾分けしてくださった

オーナーさんの言葉に本当に支えられているので、

そのお礼に庭の花をちぎってきているだけなのに、

こんなに頂けない、

と激しく辞退する私に、


「私はみんなにしてるの。

でもね、お礼を持ってきてくれたのは、

あなただけなのよ。

そこまでに気持ちが通じたことが、

嬉しくてたまらないの。」

と、笑顔でポロポロ涙を流してくださいました。


気持ちが通じた、と思ったのは、私も同じ。

私もつられてポロポロ涙を流しながらも、

嬉しくて、幸せで、

怖いくらいニヤニヤしてしまいました。


「あなたの庭、素敵なんでしょうね。

また、私に素敵を運んできてね。」

オーナーさんの言葉は

この日もまた、私の胸に深く響きました。

青空とお気に入りの植物と

澄んだ空気に満ちた場所で

大好きな人たちとお茶をのんだり

語らったりする庭は

私のもうひとつのリビング。


庭でしあわせのお裾分けのクレープを頂きながら

空を見上げると

空が、心が

オーナーさんと繋がっていることを感じます。


憧れの人と繋がる幸せ。

穏やかな5月の一日です。