小笠原先生は、高知県四万十市の開業医。特に力を入れているのは、自宅で療養している方々の訪問診療をする在宅医療。そしてとにかく「言葉で抱きしめてくれる」先生なのだ。身も心を病んでいたり、死期の近い患者さんへの接し方を、「そうやねと 辛いいのちを 抱きしめる」という歌で表現していた。患者さんの「痛み」をまさに「傾聴」するんだよなぁ‥‥。今時こんな先生、いないよ。母と一緒に「先生のいる『四万十川』に旅行したい!いや、死ぬ時は『四万十川』だ!」と二人で言い合うくらい、コアなファンな私たち親子。笑
そんな小笠原先生がなんと、東京に来る!という情報が「スタイルアサヒ」に載った!東京築地の「浜離宮朝日ホール」で行われる講演会に来てくださるとのこと!抽選でペアチケットプレゼントですと!出しましたわ!急いで!そしてなんと!当たってしまった!後で聞いたところによると、応募者多数で当たったことが奇跡だったようだ。それが昨年の1月4日。今からちょうど1年前。正月早々、一気に運を使い切ってしまったほどの幸運だった。母と二人で正月デートに出かけた。
講演会はもう、先生の「珠玉の言霊」で溢れていた。講演会中に必死でメモっていたフレーズを、ちょっとご紹介です。
「命」ということを考えたら、
許せることがたくさんあります。
「人の命が終わる」という事実を目の前にした時、
「自分のこだわっていること」が、
実は大したことじゃないことに気づきます。
自分の命は、いつ何が起こるかわかりません。
相手の命も、いつ何が起こるかわかりません。
だから大事にしなければいけない。
自分の命を。相手の命を。
やさしくなりたい、
抱きしめてあげたい、
と思うことです。
うーん‥‥。唸ります‥‥。毎日「命」というものに、「生と死」というものに向き合っている先生の言葉は、さすがに重みが違います‥‥。「命」というものには限りがある。だから大事に扱わなければいけないんだよね。人を傷つけてはいけない。もちろん自分をも傷つけてはいけない。そして相手を、自分を「許す」こと。何かに心を囚われて、身動き出来ない状態であってはいけない。他人を愛そう。自分を愛そう。そうすることで自分自身が「解放」されるのかもしれない。うんうん。私なりに解釈して、うなづいていた。
講演会は二部構成。第二部は会場のお客様からの質疑応答。その中である方がこんな質問をした。
「これから親の介護が始まります。体も不自由になり、認知も難しくなってきた親に対して、娘としてどんなことをしてあげればよいのでしょう?」
小笠原先生はやさしい声で、そっとこんなふうに答えた。
「やさしさとは『想像すること』だと思うんですね。相手を良く見て、良く話を聞いてあげること。そして想像すること。そうするとおのずと、してあげるべきことが分かってきます。」
「思いやり」って言葉、まさに「相手を思いやる」という単純な意味を忘れていた。そうなんだよな。「これが正解だ!」っていう「介護」も「カウンセリング」も、実は無いのかもしれない。答えはもう「その相手本人」が持っていて、待っていたりするから。ひとりひとりの「正解」が違う、オーダーメイドのようなもの、とでもいうか。もちろん身辺のお世話とか、医療的ケアとか、必要不可欠なことはあるけれど。「心」の問題に対しては、相手の言葉を「傾聴」し、「どんな『言葉』や『動作』を望んでいるのか」を察してあげ、その人にそっと寄り添うことが一番の「思いやり」なのかもしれない。
昔から「あねご肌」の私は、いろんな方から相談されることが多かった。でもそれらの返事って、ただの「私の意見の押し付け」ではなかったろうか?と、今さらながら反省する。みんな「私の意見」を聞きたいわけ、ではなかったんだ。ただ私に「自分の話を聞いて」欲しかっただけ。「自分の置かれている状況を理解」して欲しかっただけ、なのかもしれなかった。うーん‥‥そう考えると若気の至りで、けっこう失敗してきた。傷つけてきたかもしれないな。ゴメンよ、みんな‥‥。涙
なーんて素直に反省できるようになったのも、実は自分が痛い思いを経験した後、だからなのかもしれない。それは、私が我が子の「ダウン症」を「カミングアウト」した時だ。「自分が相談する立場」というか「自分の状況を説明しなければいけない立場」になった時、初めて「その立場」の人の気持ちが分かるものなのだ。だからこそ、この「小笠原先生」のおっしゃった「やさしさとは想像すること」という言葉が「スーっ」と胸に沁み込んできたのかもしれない。
カミングアウトした時に「そんな言葉を期待してたんじゃないのに‥‥」ってこともあった。逆に「もーう!それでこそ私の親友!あっぱれ!」っていう、対応をされたこともある。私の気持ちを察する「想像力」に長けていた人たちは、やっぱり私の何歩も先を歩く「人生観」を持っていた。敵わないなぁと思った。そしてありがたくて泣けてきたものだ‥‥。まぁ今は「そんな言葉を期待してたんじゃないのに‥‥」っていう言葉をくれた人たちに対しても、その時の「精一杯の私へのエール」だったんだろうなぁ‥‥って思えるようになった。すべての思いが「消化」されて「昇華」されてる感じだ。だって結局みんな「いい人たち」だったし。結果オーライだ。
今年一発目のブログ、気合入りすぎて長くなりすぎたな。(笑)今年はサクっと読みやすく、でも心にはザクっと刺さるような良い文章を書けるように。皆さんがどんな情報を求めて、どんな言葉を求めているのか。心を済まして「想像」し、やさしさを伝えられるような音楽や文章を生み出せるように‥‥。
読者の皆様、今年もどうかよろしくお願いいたします!

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