末の尼様のこと | 花と本と編物と

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おだやかのんびりの日々

昨日ブログを書いてからいろいろ思い出しました



末の尼様のことです

年齢は私の母より少し若くて、中学生だった頃に尼寺に入られたそうです

実母が亡くなって、父親が再婚するのに邪魔になって入れられたと聞いたことがあります


昔はよくあったことらしく、父の弟も母親が出産後病死したため、親戚に養子にいきました

その後、養母も亡くなり、寂しい子ども時代を過ごしたそうです

父も厳しい継母の元、大変だったと思います


尼様は、中学卒業後得度を受けて、僧侶の修行をされたそうです

お習字、お茶、お花は僧侶のたしなみとして身につけられたのでしょう


手仕事が好きで、レースを編んだり、お経を上げに行った先でパッチワークを習ったりしていました

クリスマスだからと、ツリーのパターンのタペストリーを見せてくれましたが、寺だろってツッコミ入れたくなりました


初釜の後のトランプでは、少女のようにはしゃいでいました


犬を飼い続けていましたが、年をとって世話が難しくなって迎えたばかりの子犬を返した時は本当に寂しそうでした


年上の二人の尼様につかえ、忙しく気苦労の多い毎日だったと思いますが、尼様はいつも朗らかで、声をあらげることもなく、穏やかでした

寺の存続のために後継の子を迎える話もあったそうですが、反対したそうです

自分のような思いをさせたくないと思ったのでしょうか


中の尼様が亡くなってからは、お稽古もやめてお寺の仕事に専念されていました

お経に行った先で出されたお茶菓子を持ち帰って、近くの仲良しのおばさまの家でお菓子を半分こして、茶を飲みながらおしゃべりをするのを日課にしていました


ある日、尼様がいつもの時間にこないので、おばさまが様子を見に行ったら、お風呂の中で亡くなっていたそうです


尼様らしい静かな最期でした


人は二度死ぬといいます

生物としての死と、人々の記憶から消えていくことの死

私が生きている限り、あの茶室の空気とともに尼様のことを思い出していきたいと思います