夕方、店の自動ドアからコンっ!って音がしたので振り返ってみると、どうやらスズメがぶつかっちゃったらしい。
外で他のお客様を待っていたお客様が、心配そうに覗き込んでる。


俺も先輩職人さんと一緒に見てたんだけど、そしたら自動ドアが開いて店の中に入ってきた。
目の前に止まったので捕まえてみたら、どうやらまだ子スズメ。
そっかー。まだ、あんまり上手く飛べないのね。


表の街路樹まで連れて行ってあげたけど、すぐに逃げるわけでもなく困った顔する子スズメ。
上の方では親スズメがチュンチュン心配そうに飛び回ってる。

巣立ちの練習してたのかなー。
何も、こんな江戸通りに巣を構えなくてもいいのに(・・;)


―こんな所くらいしか、場所がないんだろ。

先輩がそう呟く。


まぁね。
伊勢重が居を構える日本橋小伝馬町。
普段、鳥の鳴き声なんて滅多に聞かないし、夏も蝉の鳴き声が少なくてビックリしたものね。

しかし、殊更に警戒心の強い都会のスズメを手で掴めるとは思わなかった^^;


もう、外は暗くて分からないけど、無事に親と一緒に飛び立つことが出来たかな?