11月に津久井で神奈川県大会に出場した吉岡。
馬にかかわれる事が楽しくて嬉しくて、乗れることだけで満足だった。
どれくらいかというと、競技中でも自然と笑顔が出てしまうくらいだった。


$伊勢重若旦那物語 ~続・名前を無くしたレストラン~


しかし、12月に入ると吉岡の気持ちには、綻びが生じ始めていた。

クラブの練習馬に乗っても楽しくない。
歩様の微妙な馬が多く、中には背中と腰がガリガリで乗ることさえ躊躇われてしまうような馬も中にはいる。

何よりもオスカーリッチじゃ無いからつまらない。
オスちゃんがいい。

こんなような事をしきりに呟くようになっていた。


あれだけ嬉しそうに笑顔で乗っていた1鞍45分の騎乗時間は、いつしか20分で終わるようになってしまっていた。
また真面目に乗らない為に、練習としては全く意味の無い20分になっていた。


そんな折、後輩の阿津地がオスカーリッチに会いに行って来たという情報が舞い込んできた。


そうだ。
オスカーに会いに行こう。
オスカーに会いに行きたい。
オスカー乗りたい。


吉岡の頭の中は、いつしかそれだけになっていた。




「ちゃい君!オスカーに会いに行こうよ!!」





続く



※この物語はフィクションです。実在の人物・団体等は関係ありません。


※当blogは吉岡大輔選手とオスカーリッツ号のオフィシャルサポーターです。