6年生担任である。去年5年生を担任していて1月から休んでしまったので、とても気になっていたし、ぜひ一緒に卒業式をむかえたい気持ちでいっぱいだった。
しかし、正直不安でいっぱいだった。自分がどのくらいできるのか。はたして教壇に立って、一日授業をすることができるのか。ほぼ2か月ベッドの上ですごして、体はすっかりなまっている。大きな声を出すこともなかった。毎日のんびりぼんやりしていたのに、急に頭がちゃんと回転するだろうか。
左半身の不快さはまだまだ続いている。吐き気がすることも多い。おなかの調子も悪く、便秘が続いている。食欲も今一つである。
子どもたちに会うのはうれしかったが、その瞬間を想像すると怖い感じもした。いったいなんと挨拶をしようか。どんな顔をしようか。担任するのかどうか尋ねられたら何と答えようか。
幸い4月子どもたちが入学式の準備のために学校に来るのは5日だったが、その日は修学旅行の下見のために、6年担任は学校にはいかず、旅行地にむかった。そのため、子どもたちと会うのは、まさに始業式の瞬間まで延ばされることになった。これはありがたかった。
始業式当日、式の前に廊下で5年の時に担任していた女の子たちが3人で歩いてくるのに出会った。その子たちは、とてもうれしそうな顔をして挨拶をしてくれた。そのうちの一人は、私を見て涙ぐんでいた。それに気づいて、その子を抱きしめたかったけれど、自分も泣きそうだったのでやめてしまった。今思うとやっぱり涙がでてもいいから、私を迎えてくれたその子の気持ちをきちんと受け止めるべきだった。
式で、校長先生が担任の発表をすると、みんながにこにこと私を見た。私は思わず子どもたちに手をふった。
こうして、幸せな気持ちで子どもたちとの毎日が始まった。