仕事開始以来、ほぼ2週間。正直しんどい2週間だった。
子どもたちが来る前の数日が、一番しんどかった。それはそうだろう。久しぶりに職場に出て仕事を始めたから。途中で休まないと5時まで仕事を続けることができなかった。仕事は待ってくれない。やるべきことは山ほどある。あるけれど、やれない・・・・そんなジレンマも抱えながら、しかし体がしんどいほうが勝って、仕事は後回しにしたまま日々が過ぎていった。
授業が始まった7日。これまでならかんがえられないほどの準備不足のまま突入した。教室の掃除もしていない。机の整頓もされていない。黒板に、歓迎の言葉も書かれていない。靴箱のシールもロッカーのシールも貼っていない。ないないづくしのスタートだった。
朝、子どもたちが「靴はどうやって入れたらいいですか」と聞きに来た。その時初めて、「あ、そうだ。何もできていない」と思い当たった。ないないづくしに気づいてさえいなかったのだ。始まりのチャイムが鳴り、初めて6年生の教室にあがった。子どもたちは、教室におかれていた机のまま、間を開けることもなく密着して名簿順に座っていた。なんと真面目な子どもたちだろうと、ちょっと感動した。普通なら、勝手に好きなもの同士で座るだろう。この子どもたちのためにも、頑張ろうと思った。
子どもたちとの時は楽しく、授業も順調とはいえないなりに何とか過ぎていった。ただし、夕方になると足に震えが来て、手の痛みもひどくなり、頭痛もしてくるありさまだった。とにかく横になりたい。でもやることは山ほどある。毎日会議も続く。朝登校前には吐き気が続く。四時間目にもなると、ふらつくような感じがする。
朝のランニングも、子どもたちと一緒に始めたけれど、初日などはまさに最後尾で10分間走り続けるのがやっとだった。10キロ走ったはずだったのに・・・いったいあれは役に立たないトレーニングだったのだろうかと思いながら、「まあ、最初はこんなもんだ。ドンマイドンマイ」と自分に言い聞かせた。
8日の金曜日の夜、あやしの先生のところにたどり着いて現状を訴えた。先生は大笑いをされ、「それは、完全な低血糖だ」と断言されたあとに、アメちゃんをくれた。そして、塩分水分も不足しているとのことで、コップにいっぱいの塩水を飲んだ。そのあと学校の様子を話したり、体調を話したりして、体の、うまく機能していないところを「調整」してもらった。
要するに、あまりに急激に脳を総動員して使ったために、栄養がすべて脳にまわり、血糖を使い果たしてしまっていたのだそうだ。そりゃそうだろう。準備がなければないほど、必死で知恵をしぼって、授業をこなしているのだから。年度初めはとにかく忙しい。段取りをつけるために、頭はフル回転だった。そう言えば、私は頭を使うときはむっちゃ全エネルギーを投入して使うくせ?があるのだった。試験の後など、よく頭ががんがんしたものだ。
そんなわけで、栄養不足を悟った私は、それから学校にアメを持って行って子どもが帰ったら食べることにした。また、水もなるべくたくさん飲むようにした。塩分対策は特にしていないが、毎朝「塩アメ」をなめることでなんとかなっているかな。
先日あやしの先生の所に行ったときには、それまでと違って、体に余裕があった。へろへろになってたどり着くという感じではなかった。だいぶしっかりしてきたように思う。先生も、「最初に来た時の不安感や不安定さを100とすれば、今は16くらいになっていますよ」と例によって、あくまであやしげな数字をあげて、私の進歩を喜んでくれた。また、体そのものの疲れをとるために、純粋に「整体師」としての技を披露され、私はばきばきごりごりとあちこちをやられて悲鳴を上げていたのであった。
しっかりと体が戻るには、まだしばらくかかるだろうということだが、少なくとも不安感は相当消えた。そして子どもたちといることが楽しく、授業をすることが楽しい。正直、まだ学校でエネルギーを使い果たしてしまうけれど、あわてずぼちぼち暮らしていこうと思う。