私にとって最後のシグネチャーパビリオンとなった「いのちのあかし」。
 

訪問済みの方からは「とても感動した」という声もあれば、「正直よく分からなかった」という声もあり、評価が分かれていたので、どんな体験になるのか楽しみにしていました。

 

このパビリオンは、映画監督の河瀨直美さんがプロデュース。奈良県や京都府に残されていた木造校舎を移築し、「記憶の建築」として再生させた建物の中で、来場者同士の「対話」をテーマにしたプログラムが行われています。


184日間の会期中、毎日異なるテーマや問いが用意され、二度と同じ体験はできないというのが大きな特徴だそうです。

 

 

  ドキュメンタリームービー「屋根裏の記憶」

 

朝10時頃にパビリオンに到着すると、ちょうどドキュメンタリームービーの予約なし入場の案内が出ていました。Dialogue Theater の入場を目指していたのですが、そちらは初回入場が11時半~ということだったので、ムービーの列に加わりました。

 

最初に案内されたのは、建物の2階。移築された校舎の由来を聞いたり、大きなイチョウの木を眺めたりしたあと、シアターへと進みました。

 

 

この回の映像プログラムは「屋根裏の記憶」。悲しいけれど、大切なものを思い出せてくれるような、静かに心を揺さぶられるような内容でした。映画監督が手がけた作品ならではの力を感じ、短い時間ながらも印象に残るひとときになりました。

 

ゲート前の行列でちょっと疲れていたので、冷房のきいた部屋で椅子に座れたのもありがたかったです。

 

 

  念願のDialogue Theater

 

昼食を終えたあと、再びパビリオンへ向かい、Dialogue Theaterの予約なし入場の列に。

 

 

2階で再び校舎の由来を聞き、3階へ進むと杉板スピーカーの展示がありました。耳を近づけるとポコポコと心地よく響く音が聞こえました。

 

 

そしてシアターでは、同じグループで入場したメンバーのうち、選ばれた代表者が画面の向こうの人物と対話を行うという場面。私は候補に選ばれなかったので、正直なところ少しほっとしました。見知らぬ人と急に対話をするとなると、やはり戸惑いも大きいものです。

 

 

この回で代表となったのは、パビリオンの移築された校舎に実際にゆかりのある方でした。思い出や当時の心情、そして今に至る思いを語る姿に触れ、胸に響くものがありました。私が体験したのは、おそらく恵まれた回だったのではないかと感じます。

 

一方で、画面の向こうの人物がため口で話しかけてきたのには少し驚きました。距離感が近すぎると感じる部分もありましたが、それもまた「対話」の生々しさなのかもしれません。

 

最後には再び映像を鑑賞。イギリスの女性が語る内容でした。

 

子どもにはやや難しかったようですが、大人にとっては深く心を動かされる時間になったのではないかと思います。

 

 

  ダイセルの展示とワークショップ

 

この日はパビリオンの協賛企業であるダイセルによる展示も行われていました。

 

 

テーマは同社の原点ともいえる「セルロイド」。

 

 

会場ではワークショップが開かれており、子どもが参加しました。

 

 

アセテート製のメガネフレームを熱で変形させて腕輪を作るという体験で、出来上がったものはなかなか素敵な仕上がり。先着順だったので、参加できたのは幸運でした。

 

 

 

  訪問を終えて

 

「いのちのあかし」は、映像や対話を通じて“いのちの意味”を問いかけてくるパビリオンだったかなと思います。


子どもには少し難しい部分もあったかもしれませんが、大人にとっては心に残る体験となりました。

 

 

私自身にとって最後に訪れたシグネチャーパビリオンでしたが、その締めくくりにふさわしい内容だったと感じています。感動した人、よく分からなかったという人、それぞれの受け止め方が生まれるのも、きっとこのパビリオンの特徴なのでしょうね。