
海の環境がテーマの民間パビリオン「ブルーオーシャンドーム」
ブルーオーシャンドームは、曲線が美しい白い外観が目印のパビリオンです。A、B、Cの3つのドームが連なり、水に浮かぶ泡のような柔らかさと軽やかさを感じさせる建築で、夕暮れ時にはライトアップも相まってとても幻想的な雰囲気になります。
出展しているのは、特定非営利活動法人ゼリ・ジャパン。パビリオン全体を通じて、自然界の水の循環やその美しさ、そして深刻化する海洋プラスチック問題について、体験的に感じられる構成となっています。
このパビリオンは基本的に予約制で、私は7日前抽選で19時台の枠を確保しました。個人的な印象としては、他の人気パビリオンに比べて予約の競争率はやや落ち着いているように思います。
ピタゴラスイッチ好きにはたまらない
中に入ってまず現れるのが、水の動きを使った展示装置。
源流部分はガラスの鉄琴のような、あるいはししおどしにも似た構造。水が流れるたびに澄んだ音が響き、空間全体に幻想的な雰囲気が広がります。
この盤面はおそらく表面に特殊なコーティングがされていて、水がまるで生きているかのように、つるつると転がっていきます。見ているだけで気持ちがいいし、つい見入ってしまう不思議な魅力がありました。建築の外壁に応用できたら汚れ知らずでいいのでは?なんて、つい現実的なことまで考えてしまったほどです。
ピタゴラスイッチが大好きなうちの子どもは、完全にくぎ付け。まわりの人たちが次の展示へ移動しても、その場をなかなか離れようとせず、ずっと夢中で見続けていました。
映像で問いかける「このままでいいの?」
次の部屋では椅子に座って、正面に設置された丸いスクリーンに映し出される映像を鑑賞します。美しい海の世界が広がり、海洋生物がゆったりと泳ぐ様子が描かれる一方で、プラスチックごみによる汚染が映し出され、音楽もどこか不穏。「このままでいいの?」と静かに問いかけられるような気持ちになりまあした。
子どもには少し怖いと感じるかもしれませんが、ただ自然を美しいと眺めるだけでなく、その裏側にある現実を受け止める大切さにも気づかされる体験だったと思います。
集合体恐怖症の方は、一部不快に感じる可能性がある部分もあるかも。苦手な方はあらかじめ知っておいた方がいいかもしれません。
癒しと気づきが共存する空間
全体を通して、ブルーオーシャンドームは教育的なメッセージ性の強いパビリオンだと感じました。
▶ 公式サイト
前半の展示では水の不思議さや美しさに心が和みましたが、後半の映像では、プラスチック汚染という深刻な問題がしっかりと描かれていていました。
万博には環境をテーマにした展示がいくつもありますが、ここは特に“現実の重さ”を正面から伝えてくるパビリオンだと感じました。美しさの中にしっかりと問題提起があり、見終えたあとには考える余韻が残ります。
派手さやにぎやかさではなく、環境問題への気づきをしっかり届けてくれる、そんな意味で貴重なパビリオンでした。