夜の万博会場を歩いていると、ひときわ目を引くピンク色の建物。それがフランス館でした。テーマは「愛の賛歌」。愛という少し大げさにも思えるテーマですが、実際に入ってみると、そこには静かであたたかい愛の表現がちりばめられていて、思いのほか心に響く体験となりました。
とはいえ、「愛」というテーマの中で、私が特に印象に残ったのは「手仕事へのリスペクト」です。展示を通して、人の手で生み出されるものの価値や美しさが強調されていたように感じました。
地図では緑色のエリア:エンパワーリングゾーンの「P12」です。
ピンクの外観と光の演出
外から見るフランス館は、まさに“映える”デザイン。ピンクの外観がとてもかわいらしくて、思わずカメラを構えてしまいます。
入口付近では、トリコロールカラーの光がくり返し点灯されていて、なぜか「レ・ミゼラブル」の舞台を思い出してしまいました(そんな照明あったかな…)。
パンだけ買うのもOK!ブーランジェリーも併設
館の入口にはブーランジェリーが併設されていて、展示に並ばなくてもパンだけを購入できるようになっていました。
私が行ったのは夜だったので、パンの種類はかなり少なめ。それでもパン列と展示列が分かれていて、パンだけをサッと買えるのはとても便利。お土産にも、会場でのランチにもぴったりかもしれません。
展示は「手」に注目──職人技へのリスペクト
中に入ると、まず目に入るのがロダンの「手」の彫刻。あちこちに展示されていて、手をテーマにした空間づくりが印象的です。
展示の最初は、オービュッソンの「もののけ姫」あしらったタペストリー、ルイ・ヴィトンのトランク、ワイン絞り。クリスチャン・ディオールのドレスや、漆とのコラボで仕上げたセリーヌのバッグなど、手仕事による美が強調されていて、「手」への敬意が感じられます。
外庭にある池──触れて波紋が広がるインタラクション
展示の後は、外に出て大きな水盤のような空間へ。ここでは来場者が機械に手を触れると、水に波紋が広がるしかけがあって、思わず何度も試してしまいました。
フランス的な「愛」のかたち
フランス館の展示は、「自分への愛」「他者への愛」「自然への愛」という3つの軸で構成されているようです。
どれも押しつけがましくなく、静かに、でもしっかりと伝わってくる感じがして、日本の価値観にも近いなと思いました。この「手を使って何かを生み出すこと」への敬意は、すでにご紹介した展示内容と深くリンクしていて、日本の手仕事文化とも通じるところがあります。
ショップでは鉛筆が400円!決済方法には注意
出口付近にはショップもありました。文房具や衣類など、かわいらしいアイテムが並んでいます。私は鉛筆が気になったのですが、1本400円…かわいらしいデザインですが、ちょっとお高めですね。
ちなみにこのショップ、支払いはクレジットカードのみ。現金はもちろん、QRコード決済や交通系ICも使えなかったのでご注意を。
手から広がるメッセージ
フランス館は、その名のとおり「愛の賛歌」をテーマに、感性に響く展示が多い空間でした。
手を使うこと、手で作ることへのリスペクト。そして自分や他者、自然への優しいまなざし。フランスの「サヴォワフェール(匠の技)」が静かに、でも確かに伝わってくる展示でした。
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